徒者・悪戯者(読み)いたずらもの

精選版 日本国語大辞典 「徒者・悪戯者」の意味・読み・例文・類語

いたずら‐もの いたづら‥【徒者・悪戯者】

〘名〙
① 役に立たない者。何のとりえもない人間。無用の者。いたずらびと。
平家(13C前)一「世にあまされたるいたづら者なんどの」
② 粗暴または、気ままなよくない行為をする者。悪賢い者。ならずもの。いたずらびと。
曾我物語(南北朝頃)四「堅固のいたづらもの、教に順はざらん弟子をば」
③ 無為に日を過ごしている人。なまけもの。ぶしょう者。
史記抄(1477)一六「奉祿をち取て学問をも心に入れてせずは、いたづら者ぞ」
④ 江戸時代、治安取り締まりの対象になった、正業をもたない非行者、治安を乱すもてあまし者。つまはじき者をいう。
※正宝事録‐五九・慶安四年(1651)七月「人々之店かり借屋之者共に組々を致させ、徒者無之様」
⑤ みだらな者。特に、ふしだらな女。
※両足院本毛詩抄(1535頃)七「美人ではあるがいたづら物で天下を乱た物ぞ」
⑥ わるさをする者。いたずらをして他人をからかう者。
※寒川入道筆記(1613頃)落書附誹諧之事「数日御手間入けれは、いたつらもの、花よりも団子の京となりにけり」
※土(1910)〈長塚節〉五「悪戯者(イタヅラモノ)に水をさされて慌てた機会(はずみ)に」
ネズミ異名近世から明治にかけて、江戸日本橋馬喰町の吉田屋製石見銀山鼠取薬を売り歩く行商が「いたずら者はいないかな、云々」と呼び歩いたところからいう。
随筆・江戸自慢(1854‐60か)「いたづら物は居ないかと呼はり行は、鼠取売」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android