デジタル大辞泉
「徒花」の意味・読み・例文・類語
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あだ‐ばな【徒花】
〘名〙
① 咲いても実を結ばない花。むだ花。転じて、みせかけだけで実(じつ)を伴わない物事、予測される結果を伴わないで終わることにたとえていう。
※十巻本和名抄(934頃)一〇「花 爾雅云〈略〉栄而不実謂之英〈於驚反阿太波奈〉」
※歌謡・閑吟集(1518)「ならぬあだ花、まっしろに見えて、うき中垣の、
夕顔や」
② 咲いてもすぐ散るはかない花。主として桜についていう。また、はかない恋のたとえ。
※建長八年百首歌合(1256)「風をだに待つほどもなきあだ花は枝にかかれる春のあわ雪〈藤原行家〉」
③ 季節はずれに咲く花(
日葡辞書(1603‐04))。
④ 遊里で、客が
芸妓などに渡す紙纏頭
(かみばな)で、後で現金と替えるつもりのないもの。
※浮世草子・椀久二世(1691)上「あだばなを出し人々に嬉しがらせ」
[補注]「
誹諧初学抄」「毛吹草」「
山之井」「哥林鋸屑集」には、春の
季語としてみえるが、それ以後のものには、みられなくなる。
いたずら‐ばな いたづら‥【徒花】
〘名〙 実のならない花。むだ花。あだ花。やくざ花。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)三「恋の花や、いたづら花や
うちや匂ひわたった」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報