御殿山(読み)ごてんやま

精選版 日本国語大辞典 「御殿山」の意味・読み・例文・類語

ごてんやま【御殿山】

[一] (徳川家光が狩の際使用する館が設けられていたところからいう) 東京都北区西ケ原の台地。江戸前期には狩猟場が置かれていた。舟山
[二] (徳川家光の御殿が置かれていたところからいう) 東京都品川区北品川の台地。寛文年間(一六六一‐七三吉野桜が移され、桜の名所となった。かつては品川沖に面し、ここの山土でお台場(品川砲台)が築かれた。
[三] (徳川家光の御殿が置かれていたところからいう) 東京都武蔵野市の地名江戸時代には狩猟場が置かれ、のち大砲の試射場となった。現在の井之頭公園にあたる。

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日本歴史地名大系 「御殿山」の解説

御殿山
ごてんやま

武蔵野台地を構成する淀橋よどばし台地のうち、高輪たかなわ台の先端部にあたる丘陵。目黒川の左岸、北品川地区の西部に位置し、丘陵の東は海、西と南側を目黒川が流れ、北には台地が継続している。御殿山の名称は、太田道灌が江戸城を築く前の長禄(一四五七―六〇)の頃に館を構えていたという伝承に由来するとの説もあるが、後述の「品川御殿」から命名されたと考えられる。江戸時代初期には御殿山の称は確認できず、寛永期(一六二四―四四)の記録には「品川之台」とみえる(甲子夜話)中世の御殿山は幕末の品川台場築造の際の土砂採取によって板碑・宝篋印塔・五輪塔などの中世石造物が多量に出土しており(嘉永七年「公用記録附山中事故」東海寺文書)、海を望む山の傾斜地には石塔の立並ぶ供養の場が築かれていたと考えられている(→北品川

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御殿山」の意味・わかりやすい解説

御殿山
ごてんやま

東京都品川区北部,山手台地高輪台の南東端,北品川一帯の台地の通称。地名は,太田道灌の館があり,また徳川将軍家の御殿があったことに由来する。江戸時代には,東は東京湾に面し,南は目黒川の谷に限られた景勝地で,サクラの名所であった。嘉永6 (1853) 年ペリー来航にあわてた幕府は,御殿山をくずした土で江戸防衛の台場 (砲台) を湾内に築造した。明治以後住宅地となった。ホテル,銀行,郵便局などのある御殿山ヒルズがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御殿山」の意味・わかりやすい解説

御殿山
ごてんやま

東京都品川区北端、北品川一帯の台地。東は東京湾に臨み、南は目黒川の谷の要害の地で、太田道灌(どうかん)が1457年(長禄1)館(やかた)を築いたことが地名の由来というが、江戸初期に将軍家の御殿が設けられたことに由来するとの説もある。飛鳥(あすか)山とともに江戸のサクラの名所としてにぎわった。1862年(文久2)当地に建設中のイギリス公使館が尊王攘夷(じょうい)派による焼打ちにあった。1853年(嘉永6)ペリー来航後、江戸防衛のため御殿山の土を崩して品川台場を築造した。

沢田 清]


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