徳之島カムィヤキ陶器窯跡(読み)とくのしまカムィヤキとうきかまあと

国指定史跡ガイド の解説

とくのしまカムィヤキとうきかまあと【徳之島カムィヤキ陶器窯跡】


鹿児島県大島郡伊仙町阿三にある窯跡。徳之島南部、海岸から約3km離れた標高170~200mの丘陵に所在する大規模な窯跡。朝鮮半島系の生産技術や流通の実態など、当時の社会を知るうえで欠くことのできない遺跡とされ、2007年(平成19)に国の史跡に指定された。カムィヤキは、窯跡が発見されるまでの長い間、類須恵器(るいすえき)と呼ばれ、生産地不明の焼き物とされてきた名称は、「亀焼」を地元で「カムィヤキ」と称することに由来。窯跡は東西約1.5km、南北約800mの範囲に、12支群に分かれて分布し、窯の数は現状では100基を超えると推定。窯体は平面いちじく形を呈し、全長4.5m、幅1mの地下式窖窯(あながま)。製品は還元焔焼成で、表面は青灰色、器肉は赤褐色を呈し、器種は壺・甕(かめ)・鉢・碗・水注の5種で壺が量的に多い。製作技法や焼成・色調は朝鮮半島製無釉陶器に類似する。カムィヤキの生産された時期は11世紀後半から14世紀前半と推定され、流通した範囲は、先島諸島を含む琉球列島のほか九州南部にも及び、その距離は南北1000km以上に達していることなどから、この窯跡は、東シナ海を取り巻く地域の文化歴史解明にも大きく貢献するものと考えられている。出土遺物は伊仙町立歴史民俗資料館に保管・展示されている。徳之島空港から車で約50分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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