家庭医学館 「心室中隔欠損(症)」の解説
しんしつちゅうかくけっそんしょう【心室中隔欠損(症) Ventricular Septal Defect(VSD)】
心室中隔に孔(あな)が開いている(欠損)状態で(図「心室中隔欠損症」)、肺血流量が増加しています。もっとも頻度の高い先天性心疾患です。
多呼吸、努力呼吸、哺乳(ほにゅう)困難などの症状がみられれば、乳児期早期、遅くても1歳までに治療します。
[治療]
膜様部(まくようぶ)中隔欠損は、孔が自然に小さくなることがあるので、病状が許せば、1歳まで手術をしないでようすをみます。症状がなければ、治療を必要としないことがほとんどです。ただし、左心室(さしんしつ)の拡大や肺高血圧があれば、外科的治療が考慮されます。
筋性部中隔欠損は、乳児期の外科的治療が困難なことがあります。この場合は、肺血管床を保護するために肺動脈絞扼術(はいどうみゃくこうやくじゅつ)(先天性心疾患とはの「外科的治療」の肺動脈絞扼術)を行ない、幼児期や学童期になってから、欠損部を閉鎖する手術をします。
流出路部中隔欠損は症状がなくても、大動脈弁逸脱(だいどうみゃくべんいつだつ)と呼ばれる状態をともなうことがあります。この場合、大動脈弁の変形や大動脈弁閉鎖不全が存在し、手術が行なわれることがあります。