心遣・心使(読み)こころづかい

精選版 日本国語大辞典 「心遣・心使」の意味・読み・例文・類語

こころ‐づかい ‥づかひ【心遣・心使】

〘名〙
① (━する) 対象に対して、心を油断なく働かせること。失敗しないように心を緊張させること。警戒。用心。心くばり。
蜻蛉(974頃)中「一日の日は、みえずしてやむ世なかりき。さもやと思ふこころづかひせらる」
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一〇月一六日「行幸は辰の時と、まだ暁より人々けさうじ心づかひす」
② 歌語で、①の意と、心中の思いを託す便りの意の「心の使い」とを掛詞(かけことば)とした語。
※忠見集(960頃)「人にますこころづかひもあるものを便りなくてふことを告ぐらん」
③ いろいろと、細かく気をつかうこと。また、相手のためになるように、暖かく好意的に配慮すること。
※浄瑠璃・絵本太功記(1799)十日「蚊屋も蒲団もいりませぬ。お心遣ひ御無用と」
心付け祝儀(しゅうぎ)
人情本春色梅児誉美(1832‐33)四「元は内所や若い者、みなそれぞれに目をかけて、心遣(ココロヅカ)ひもせし人を」
⑤ なりゆきを心配して苦労すること。心労
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「この母は我子を里につかはして、その身は乳母(うば)に出しかど 心(ココロ)づかひの期(うへ)なれば、忽ち乳の上りしゆゑ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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