思止(読み)おぼしとどむ

精選版 日本国語大辞典 「思止」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐とど・む【思止】

〘他マ下二〙 (「おもいとどむ(思止)」の尊敬語)
① あるところまでで考えることをおやめになる。することを断念なさる。
源氏(1001‐14頃)蓬生御使の立ちわづらはむもいとほしうおぼしとどめつ」
② 心にいつまでも残るようになさる。忘れないよう心におとめになる。
※源氏(1001‐14頃)帚木「心づくしなることを御心におぼしとどむるくせなむあやにくにて」

おもい‐とま・る おもひ‥【思止】

[1] 〘自ラ四〙 心が他に移らないで、そこに残る。心がつなぎとめられる。
※源氏(1001‐14頃)帚木「見そめつる契りばかりを捨てがたく思ひとまる人は、ものまめやかなりと見え」
[2] 〘他ラ五(四)〙 =おもいとどまる(思止)
※源氏(1001‐14頃)行幸「げに折しもびんなうおもひとまり侍るに」

おもい‐や・む おもひ‥【思止】

〘他マ四〙 相手への思慕をあきらめたり、こうしようと決心したことをやめたりする。思いとどまる。思いきる。
万葉(8C後)二・一四九「人はよし念息(おもひやむ)とも玉鬘(たまかづら)影に見えつつ忘らえぬかも」
※源氏(1001‐14頃)賢木「御祈りをさへ、せさせて、この事、思やませたてまつらむと」

おぼし‐とま・る【思止】

〘他ラ四〙 (「おもいとまる(思止)」の尊敬語) =おぼしとどまる(思止)
※源氏(1001‐14頃)絵合二条の院にわたし奉らむことをも、このたびはおぼしとまりて」

おぼし‐とどま・る【思止】

〘他ラ四〙 (「おもいとどまる(思止)」の尊敬語) しようと考えていらっしゃったことをおやめになる。おぼしとまる。
※源氏(1001‐14頃)梅枝「左のおとどなども、おぼしとどまるなるを、きこしめして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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