愚昧記(読み)ぐまいき

改訂新版 世界大百科事典 「愚昧記」の意味・わかりやすい解説

愚昧記 (ぐまいき)

平安末~鎌倉初期の公家三条実房日記。暦記18巻,別記15巻が存在したというが,現在は1167-95年(仁安2-建久6)の間のものが部分的に残っているだけである。《愚昧御記》《実房記》ともいう。平安末~鎌倉初の動乱期における政局推移朝儀様子がわかる貴重な資料。東大史料編纂所に自筆本7軸,陽明文庫安元3・寿永3・文治5年の自筆本3軸(重文)が現存し,写本も多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愚昧記」の意味・わかりやすい解説

愚昧記
ぐまいき

平安末期~鎌倉初期の公卿(くぎょう)三条実房(さねふさ)(1147―1225)の日記。1166年(仁安1)より95年(建久6)までの間で19年分だけが伝わる。著者は1190年(建久(けんきゅう)1)に左大臣に上り96年には出家した。名称は実房自身の謙遜(けんそん)であろう。朝廷儀式の記録が多く非常に詳しいので古来珍重され、江戸時代の写本が多い。朝廷周辺の動向を知るうえで同時代の『玉葉(ぎょくよう)』などと並ぶ史料であり、原本(国指定重要文化財)の紙背には検非違使庁(けびいしのちょう)の裁判文書などがある。

[菅原昭英]

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百科事典マイペディア 「愚昧記」の意味・わかりやすい解説

愚昧記【ぐまいき】

公家の三条実房(さねふさ)の日記。《愚昧御記(ぎょき)》《実房記》ともいう。現在は1167年から1195年の間のものが部分的に残っているだけで,自筆本が東京大学史料編纂所などに所蔵される。記載は平安末期から鎌倉初期におよび,源平争乱時の政局や朝廷内の様子などを知ることができる好史料。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「愚昧記」の意味・わかりやすい解説

愚昧記
ぐまいき

『愚昧御記』『実房記』などともいう。三条実房 (1147~1225) の日記。当時の朝儀や政局の推移をみるうえに貴重な史料。写本類は多くの諸機関に散在するが,東京大学史料編纂所や陽明文庫には自筆原本も所蔵されている。

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