慌・遽(読み)あわただしい

精選版 日本国語大辞典 「慌・遽」の意味・読み・例文・類語

あわただし・い【慌・遽】

〘形口〙 あわただし 〘形シク〙 (古くは「あわたたし」)
① 物事を急いでしようとして慌てるさまである。心がせわしなく落ち着かない。
蜻蛉(974頃)下「午時許に、おはしますおはしますとののしる。いとあはたたしき心ちするに」
平家(13C前)七「一とせ都うつりとて俄(にはか)にあはたたしかりしは」
※読本・雨月物語(1776)青頭巾「寺中の人々、院主こそ鬼になり給ひつれと、連忙(アハタタシク)(にげ)さりぬるのちは」
② 変化がはげしい。状況が不安定で流動的である。
源氏(1001‐14頃)葵「木の葉さそふ風あはたたしう吹はらひたるに」
[語誌]「あわつ(慌)」と同根。「腹たつ→腹たたし→腹だたし」と同様の造語法で「泡立つ」から派生した形容詞かとも思われる。第二音節は「新撰字鏡」の「狼狽 安和豆」「惶急 驚失意也 於比由 又阿和豆」によって「わ」であることが明らかである。
あわただし‐げ
〘形動〙
あわただし‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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