懶・物臭(読み)ものぐさい

精選版 日本国語大辞典 「懶・物臭」の意味・読み・例文・類語

もの‐ぐさ・い【懶・物臭】

〘形口〙 ものぐさ・し 〘形ク〙 (古くは「ものくさし」)
① 何となくくさい。どこからともなく嫌なにおいがする。
落窪(10C後)一「女君は、程ふるままに、物くさき部屋に臥して」
② 何となく怪しい。疑わしげである。くさい。
浮世草子・古今堪忍記(1708)七「端々の都合あはずと見ゆるは、如何様物ぐさき仕出しと」
物事をするのがおっくうである。めんどうである。大儀だ。わずらわしい。気が進まない。
※今鏡(1170)九「この碁ものぐさしとて立ち給にけりとかや」
病気気分がすぐれない。体の具合が悪い。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)八「体中不佳時とは、ちっと物(もノ)ぐさい時に易をみると云ぞ」
⑤ とるにたりない。問題にならない。しゃらくさい。
幸若・高たち(室町末‐近世初)「今はむかふかたきのあらされは、ええ、物くさいいくさ哉」
ものぐさ‐が・る
〘他ラ四〙
ものぐさ‐げ
〘形動〙
ものぐさ‐さ
〘名〙

もの‐ぐさ【懶・物臭】

〘名〙 (古くは「ものくさ」)
① (形動) 物事をするのにめんどうがること。不精(ぶしょう)なこと。また、その性質やその人、あるいは、そのさま。
※とはずがたり(14C前)二「物くさながら出たちて、やなぎのきぬに、くれなゐのうちき」
② 短くて、かかとのない草履(ぞうり)足半(あしなか)尻切れ草履。ものくさ草履。〔名語記(1275)〕

もの‐くさし【懶・物臭】

〘名〙 ものぐさいこと。不精(ぶしょう)なこと。また、その人。ものぐさ。
御伽草子物くさ太郎(室町末)「名を物くさ太郎と申す事は、国にならびなき程の物くさしなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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