我・吾・和(読み)わ

精選版 日本国語大辞典 「我・吾・和」の意味・読み・例文・類語

わ【我・吾・和】

[1] 〘代名〙
① 自称。男女ともに用いる。格助詞「が」を伴うことが多いが、上代では、助詞「は」「を」「に」をも伴う。あ。われ。また、反射代名詞のように用いることもある。→わが(我━)
古事記(712)上・歌謡「嬢子(をとめ)の 寝(な)すや板戸を 押そぶらひ 和(ワ)が立たせれば 引こづらひ 和(ワ)が立たせれば」
万葉(8C後)一一・二四八三「敷栲(しきたへ)の衣手離れて玉藻なす靡きか寝らむ和(ワ)を待ちかてに」
② (反射指示) その人自身。自分自身。→わが(我━)
※伊勢物語(10C前)九「宇津の山に至りて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに」
対称。相手を親しんで呼びかける語。また、軽んじ卑しめる場合もある。→わが(我━)
※天理本狂言・箕被(室町末‐近世初)「ゐんで、わが、さかさまに、いわふはしらぬ、連歌にあいて、もどったと云たらば」
[2] 〘接頭〙 名詞代名詞に付けて対称の代名詞をつくる。多くは目下に用いる。親愛感や、身近な者への軽い敬意、また軽侮気持を表わす。
大鏡(12C前)一「わおきなの年こそきかまほしけれ」
[補注](1)「わ」は必ず助詞を添えて用い、単独の場合は「われ」を用いた。また、上代では「わどり」のように、名詞とも複合した。
(2)「わが」の形で連体修飾語となるものは、便宜上別項として扱った。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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