戦・闘(読み)たたかう

精選版 日本国語大辞典 「戦・闘」の意味・読み・例文・類語

たたか‐・う ‥ふ【戦・闘】

[1] 〘連語〙 (動詞「叩(たた)く」の未然形に、反復・継続の意の助動詞「ふ」の付いたもの) たたきつづける。乱打する。
※霊異記(810‐824)上「斧を執りて父を殴(タタカフ)〈興福寺本訓釈 殴 太々加不〉」
[2] 〘自ワ五(ハ四)〙 ((一)の一語化した語とも、「たたきあう」の変化した語とも)
① 互いにたたきあう。うちあって勝ちをあらそう。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「闘(タタか)ひ諍ひつつ姧(かた)み偽はること多く」
② 互いに兵を出して攻めあう。合戦する。戦争をする。
※古事記(712)中・歌謡「楯並(たたな)めて 伊那佐の山の 樹の間よも い行きまもらひ 多多加閇(タタカヘ)ば 吾はや飢(え)ぬ」
③ 互いに技、力、知恵などをふるって優劣をあらそう。対立する者どうしがあらそう。勝負をする。試合をする。
書紀(720)雄略七年八月「大なる雄鶏を以て、呼びて己が鶏として、鈴・金の(あしえ)を著けて、競ひて闘はしむ」
④ 障害や困難などにたち向かいこれをのりこえようとする。
泊客(1903)〈柳川春葉〉一「持病と闘はねばならぬ情ない有様で」

たたかい たたかひ【戦・闘】

〘名〙 (動詞「たたかう(戦)」の連用形の名詞化)
① 二者が対立し、相手を負かそうとして、力であらそうこと。打ちあうこと。
今昔(1120頃か)二六「此等(さい)論をしける間に、遂に戦(たたかひ)に成(なりに)けり
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「詞共のたたかひすとて、立すかしたる内甲」
② 戦争をすること。いくさ。合戦。
※書紀(720)神武即位前(北野本訓)「戦(タタカヒ)勝ちて驕(をこ)ること無きは」
軍勢軍隊
平家(13C前)二「漢王のいくさよはく、胡国(ここく)のたたかひこはくして」
技芸などの優劣を争うこと。勝負。

たたかわ・す たたかはす【戦・闘】

〘他サ五(四)〙 互いに争って、議論などを交える。やり合う。競い合う。
談義本・風流志道軒伝(1763)三「新町色香をあらはし、白人芸子の今様めけるは、南北風情をたたかはす」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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