手作・手造(読み)てづくり

精選版 日本国語大辞典 「手作・手造」の意味・読み・例文・類語

て‐づくり【手作・手造】

〘名〙 (「てつくり」とも)
① 手ずから作ること。直接自分でこしらえること。また、そのもの。手製
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「いと使ひよきてづくりの針の、耳いと明らかなるに」
※家(1910‐11)〈島崎藤村〉下「お雪は勝手の方から、何か手造りのものを皿に盛って持って来た」
万葉(8C後)一四・三三七三「多摩川に曝(さら)す弖豆久利(テヅクリ)さらさらに何そこの児のここだ愛(かな)しき」
※霊異記(810‐824)中「麻の細き(テヅクリ)を織りて、夫の大領に著す〈国会図書館本訓釈 弖都九里〉」
轆轤(ろくろ)や型などを使わないで手でつくる陶器。手づくね。
随筆・胆大小心録(1808)一四〇「手造の器は、蛭子の神足たたずともたつとも、流しやる物のみなり」
④ 田畑を手ずから耕作経営すること。中世以後、地主農民労役を課したり雇用したりして田畑を直接経営すること。特に近世、広く行なわれた。
金沢文庫古文書‐正中二年(1325)三月一七日・平胤連田畠等打渡状案(七・五三四七)「若此於田畠、或手作と称して、地本にいろい」
※政談(1727頃)二「其の祖父、伊勢の国に先祖の手作したる田地有しを」
⑤ 自分自身で事に当たること。他にまかせないで、みずから行なうこと。
※奥州後三年記(1347)下「ひざまづきて、懸殿の手づくりに候となんいひける」
⑥ (形動) 自分で工夫をしたり創作をしたりすること。また、そのさま。
※土井本周易抄(1477)三「正義にも、注にも、附録にもせぬぞ。手づくりに申さうぞ」
⑦ 大型和船の船尾外艫の上に設けた船頭の指揮用やぐら。仕出し。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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