手打・手討(読み)てうち

精選版 日本国語大辞典 「手打・手討」の意味・読み・例文・類語

て‐うち【手打・手討】

〘名〙
素手(すで)でうち殺すこと。また、自分の手で斬ること。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「宗との侍二人手討(テウチ)にして罷出ぞや」
② (手討) 武士が自分の家臣町人など目下の者を手ずから斬ること。
※虎明本狂言・二千石(室町末‐近世初)「余人にも仰付られひで、お手打になる事は、かたじけなひと云て」
※浮世草子・世間娘容気(1717)六「度々のふ義あらはれ、すでに手討(テウチ)にもせらるべき所なりしを」
③ そば、うどんなどを機械や器具によらないで手でつくること。また、そのそばやうどん。
歌舞伎・吉田兼好鹿巻筆(1699)二「此中百性共が新そばのこをくれた、手うちをいたしてしんぜふと」
店構えの立派な格式の高いそば屋。〔蕎麦通(1930)〕
⑤ 手をうちならすこと。拍子をとって手をたたくこと。〔観智院本名義抄(1241)〕
⑥ 歌舞伎・興行関係で用いる語。
(イ) 劇場で顔見世狂言のとき、劇の途中で贔屓(ひいき)連中土間に立ってほめことばを述べ、手をうつこと。→手打連中(てうちれんじゅう)
※談義本・根無草(1763‐69)後「花道出場(では)手打(テウチ)祝儀
(ロ) 俳優芸人を抱えている太夫元が手ずから興行すること。
約束・和解の成立しるしとして、また、祝い事などに一同揃って手をうつこと。手じめ。転じて、約束・和解が成立すること。
東京日日新聞‐明治一四年(1881)一一月一四日「此処らで手打(テウチ)相談としたらば如何と云ひたるに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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