打入・討入(読み)うちいる

精選版 日本国語大辞典 「打入・討入」の意味・読み・例文・類語

うち‐い・る【打入・討入】

[1] 〘他ラ下二〙
① (「うち」は接頭語) 無造作にひょいと入れる。
※竹取(9C末‐10C初)「手にうち入て家へ持ちて来ぬ」
ばくちなどをして、金品をつぎこむ。
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「ばくち不合の者にて、身のしゃうぞくなどはみなうちいれて」
③ (「うち」は接頭語) 勢いよく入れる。
今昔(1120頃か)二八「鼻て粥の鋺にふたと打入れつれば」
太平記(14C後)九「泥土の中へ馬を打入れ、我先にとぞ進みける」
④ (「うち」は接頭語) 味方の軍勢を退却させる。
日葡辞書(1603‐04)「Vchiire, ruru, eta(ウチイルル)〈訳〉戦陣の人々を退却させる、または逃げ込ませる」
⑤ 鷹狩りに用いる犬をせめたたいて、鷹に襲いかからないようにならす。打って仕込む。
※日葡辞書(1603‐04)「イヌヲ vchiiruru(ウチイルル)。〈略〉 Vchiireta(ウチイレタ) イヌ」
⑥ たたいて入れる。
※古活字本毛詩抄(17C前)一一「是がくいをうちいるると同ぢゃ」
[2] 〘自ラ五(四)〙
① 勢いよくはいりこむ。また、攻め込む。襲いかかる。
※今昔(1120頃か)二九「馬を走せて山に打入て見ければ」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟海北にかまえて浪打入る所を」
② 軍勢が退却する。
※日葡辞書(1603‐04)「Vchiiri, ru, itta(ウチイル)〈訳〉戦陣の人々が逃げ込む、または、退却する」
囲碁などに熱中する。熱心にうつ。
浮世草子西鶴織留(1694)二「明暮れ碁に打入て」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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