精選版 日本国語大辞典 「扼殺」の意味・読み・例文・類語
やく‐さつ【扼殺】
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手によって頸部が圧迫されることを扼頸(やくけい)throttling,それによって死亡することを扼死,他人によって生じた扼死を扼殺という。前腕による圧迫も扼頸の特異なものとされているが,〈腕絞めmugging〉として区別されることもある。扼頸は自分でも可能であるが,死亡することはほとんどなく,1980年の警察庁の統計によれば,扼死90件中,自殺2件,自過失死4件であり,扼殺は82件であった。死因は窒息であるが,ごくまれに,頸部の神経系が急激に圧迫されて生じるショックによることもある。特異的な死体所見としては,頸部に扼頸の際の圧迫痕があることで,爪や指先による圧迫痕を扼痕(やくこん)throttling marksという。典型的なものは,頸部の圧迫に使用された指の爪による三日月形の扼痕で,指の数だけみられることがある。扼痕に相当して,舌骨や甲状軟骨が骨折していることがあり,皮下から筋肉に出血がある。窒息死では,顔面に強い鬱血(うつけつ),頭部顔面に多数の溢血点(いつけつてん)がみられる。
執筆者:小嶋 亨
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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