押込・押籠(読み)おしこむ

精選版 日本国語大辞典 「押込・押籠」の意味・読み・例文・類語

おし‐こ・む【押込・押籠】

[1] 〘自マ五(四)〙
大勢の者が狭い所にむりにはいりこむ。ぎゅうづめになる。びっしりつまる。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「公達おしこみ入れて、御文を奉り給へば」
② 人の所に当人意向を無視して文句を言いになど、むりやりはいりこむ。おしいる。おしかける。侵入する。
咄本・くだ巻(1777)盗人「今夜横丁の大黒屋へ押込(オシコム)(はづ)じゃ」
※爛(1913)〈徳田秋声〉一七「いきなり細君が押込んで来た」
[2] 〘他マ五(四)〙
① (物を)押し付けて入れる。狭い所にむりに入れる。〔名語記(1275)〕
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「穢(よごれ)たらその儘に葛籠(つづら)の隅へおし込(コン)で」
② 狭い所に入れて自由に外出させないようにする。監禁する。とじこめる。
※虎寛本狂言・樋の酒(室町末‐近世初)「両人共に蔵へ押籠(オシコ)うで出(で)うと存る」
[3] 〘他マ下二〙 ⇒おしこめる(押込)

おし‐こ・める【押込・押籠】

〘他マ下一〙 おしこ・む 〘他マ下二〙 中に入れて出さないようにする。
① 心の中にしまいこんで口に出さないようにする。腹に納める。
源氏(1001‐14頃)末摘花「言はぬをも言ふにまさると知りながらをしこめたるは苦しかりけり」
② おしつつむ。おおいかくす。
※類従本堀河百首(1105‐06頃)秋「なにごとを大原山にをし籠てつきせず鹿の鳴きあかすらん源顕仲〉」
外部とへだてられた狭い所にむりに居させて自由に外出させないようにする。監禁する。とじこめる。
今昔(1120頃か)一〇「此の女御の形の美麗並び无ければ〈略〉謀を成して押籠たりけるにや」
④ 一括する。ひとまとめにする。
※玉塵抄(1563)一二「都督と云官あり、五ケ国も三ケ国もをしこめてあつかう官を云ぞ」

おし‐こめ【押込・押籠】

〘名〙
① おしこめること。むりに入れること。
江戸時代刑罰一種。門を閉じ蟄居(ちっきょ)させ、外出を禁ずるもの。〔禁令考‐後集・第四・巻三五(1740)〕
※歌舞伎・日月星享和政談(延命院)(1878)五「相手おころといふ女は、押籠となり済んだ後」
③ 人を閉じ込めて、行動を束縛すること。監禁。
夢酔独言(1843)「おれは三十日計り目通止られ、おしこめにあった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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