挙白集(読み)きょはくしゅう

精選版 日本国語大辞典 「挙白集」の意味・読み・例文・類語

きょはくしゅう ‥シフ【挙白集】

江戸前期の歌人木下長嘯子の歌文集。一〇巻八冊。死後、慶安二年(一六四九)刊。五巻までは歌集、六巻以後は文集で、物語論、文学観を展開

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デジタル大辞泉 「挙白集」の意味・読み・例文・類語

きょはくしゅう〔キヨハクシフ〕【挙白集】

江戸前期の歌文集。10巻8冊。木下長嘯子きのしたちょうしょうし著。慶安2年(1649)刊。清新で奇抜な歌風で注目される。

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改訂新版 世界大百科事典 「挙白集」の意味・わかりやすい解説

挙白集 (きょはくしゅう)

江戸初期の歌文集。木下勝俊木下長嘯子)詠,打它公軌(うつだきんのり)・景軌・山本春正編。1649年(慶安2)刊。10巻8冊。彰考館本写本(別本)は乾坤2巻。前半5巻は1775首を収載する部立の歌集。後半5巻は58編より成る文集。二条派の伝統的な歌風隆盛の当時にあって,本書は歌材・用語ともにまったく異なる清新な歌風を示して歌壇異彩を放った。ために刊行翌年には《難挙白集》が出版されたのをはじめ,多くの反響を呼んだ。〈古郷月 里は荒れてつばめならびし梁(うつばり)の古巣さやかに照らす月かげ〉。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「挙白集」の意味・わかりやすい解説

挙白集
きょはくしゅう

木下長嘯子(ちょうしょうし)の歌文集。1649年(慶安2)刊の刊本のほか、編成の異なる写本がある。刊本は、門弟打它公軌(うつたきんのり)・景軌父子が整理したものを山本春正が編集したもので、前半5巻が歌集、後半5巻が文集。文集には「山家記」以下58編の文章を収めるが、なかでも娘の夭折(ようせつ)を悼む「うなゐ松」は雄編。なお本書の刊行後、保守派の松永貞徳一派から尋旧坊の名で論難書『難挙白集』(1650刊)が出版され、これに対し、長嘯子を弁護する立場から『挙白心評』(1651ころ刊)が著されるなどの反響を呼び起こした。

[嶋中道則]

『藤井乙男著『校註挙白集』(1930・文献書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「挙白集」の意味・わかりやすい解説

挙白集
きょはくしゅう

江戸時代前期の歌文集。木下長嘯子 (ちょうしょうし) 作。門弟公軌ら編。 10巻8冊。慶安2 (1649) 年刊。歌集5巻 1775首,文集5巻から成る。清新自由な長嘯子の文学を知るうえで貴重な書。本書を論難した『難挙白集』 (50) ,弁護した『挙白心評』 (50以後) などが出た。冷泉為景蔵の異本 (写本) があり,刊本とは歌文ともに出入りがある。

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