捩・錑(読み)もじり

精選版 日本国語大辞典 「捩・錑」の意味・読み・例文・類語

もじり もぢり【捩・錑】

〘名〙 (動詞「もじる(捩)」の連用形の名詞化)
① よじること。ねじること。また、ねじったもの。
浄瑠璃・鬼一法眼三略巻(1731)二「すっくと立てば又立寄る腕をもぢりに打ち返され」
② (錑) 江戸時代、罪人を捕える道具で、長柄の先に多くの鉄叉上下に向けてつけたもの。袖搦(そでがらみ)
※浄瑠璃・関八州繋馬(1724)三「手々(てんで)に取まく鼻捻、つく棒、さすまた、もぢり琴柱(ことぢ)
③ (錑) =もじぎり(錑錐)〔羅葡日辞書(1595)〕
④ 付句の一種。まず題を出して一句を付け、その句の終わりをまた次の題として付けるもの。字もじり・本もじりの二種がある。段段付。もじり付け。
随筆・我衣(1825)「享保十年の頃もじりと云ことはやる」
言語遊戯の一種。ことばを、同音または音の近い他の意の言語に言いかけること。地口(じぐち)語呂(ごろ)などの類。
※随筆・三養雑記(1840)一「地口と似て異なるは語呂ともぢりなり〈略〉もぢりといふは、中の詞を上下へもたせ聞かするいひかけなり。御祖師さまありがたかりし瓜の皮。あぶり餠こがしやかとなる摩耶夫人、などなり」
⑥ 著名な詩文・歌謡などの調子や文句をまねて滑稽(こっけい)化すること。また、その作品。パロディー
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「『文付やひとりも出来ぬ娘の子サ。〈略〉何と秀逸でごぜへませう』『とんだ晉子(しんし)のもぢりだネ』」
⑦ 男性が着物の上に着る、筒袖(つつそで)または角袖(かくそで)外套(がいとう)。もじり外套。
※死滅する村(1923)〈小川未明〉「頭から黒のモヂリを被った」
⑧ 下女などが汚れを防ぐため着物の上に着る筒袖のやや広いもの。鯉口(こいぐち)
⑨ 縄をかけてしばった物をもっときつく締めつけるための棒(日葡辞書(1603‐04))。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android