日本大百科全書(ニッポニカ) 「排水(植物)」の意味・わかりやすい解説
排水(植物)
はいすい
植物が水滴として水を排出することをいう。根から吸収された水の大部分は水蒸気となって葉から蒸散されるが、特別の排水組織をもつ植物では、水孔、排水毛などから水滴として水を排出する現象がみられる。これは、根圧が高まって水の排出が蒸散だけでは処理できなくなったときにおこるものである。野外では、吸水が盛んで蒸散が抑えられる夜から早朝にかけてよくみられ、日中はみられない。サトイモの葉ではとくに著しく、多いときは1分間に150滴に及ぶ排水がみられる。この水はほとんど純水に近いが、排水毛から出る水液には無機物や有機物が含まれることが多い。塩水植物では炭酸カルシウムを主体にケイ酸塩などを含んでいる。
[吉田精一]
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