掻立・攪立(読み)かきたてる

精選版 日本国語大辞典 「掻立・攪立」の意味・読み・例文・類語

かき‐た・てる【掻立・攪立】

〘他タ下一〙 かきた・つ 〘他タ下二〙
① かきまわして、下の方にあるものをわき上がらせる。また、勢いよくかき混ぜる。
※教言卿記‐応永一五年(1408)一二月三日「小便良薬法印送賜之〈略〉かへりゆにかきたてて、朝とひると夕かたと、きこしめされ候へく候」
※満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉四九「馬の蹄に掻(カ)き立(タ)てられた軽い埃(ほこり)が」
弦楽器をひいて鳴らす。かき鳴らしてよい音を出す。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「琴の音の有るかぎりかきたてて遊ぶに」
※苔の衣(1271頃)四「かきたて給ふばち音は」
灯心や燃えているものなどをかき出して火の勢いを強くする。かきおこす。多く、ともしびの芯(しん)を出して明るくする場合に用いられる。
※平松家本平家(13C前)一「灯幽かに掻立て、親子三人念仏して居たる所に」
④ 強い刺激を与えて、心の奥にひそんでいる感情をわき上がらせる。強く刺激する。そそる。
浄瑠璃桂川連理柵おはん長右衛門)(1776)下「じっとこたへて気を掻立(カキタ)てさへせねば」
巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉晴れた日に「自分だけがとり残されているようなさびしさにかきたてられた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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