擬・抵牾・牴牾(読み)もどき

精選版 日本国語大辞典 「擬・抵牾・牴牾」の意味・読み・例文・類語

もどき【擬・抵牾・牴牾】

[1] (動詞「もどく(擬)」の連用形の名詞化)
① 張り合って似せて作ること。また、似せて作ったもの。まがいもの。
古今著聞集(1254)五「小侍従がもどきの句といひつべし」
非難批評
※宇津保(970‐999頃)内侍督「あなさがな、世にもどきあらんことは聞こえじ」
※栄花(1028‐92頃)初花「たをやかならぬさまなりといふもどきはあれど」
③ 日本の諸芸能で主役のまねをしたり、主役にからんだりする道化役。また、その曲目。能の「翁」における三番叟や、里神楽でひょっとこ面をつけた道化役など。
[2] 〘語素〙 名詞に付いて、それと対抗して張り合うぐらいのもの、それに匹敵するものであるという意を表わす。また、そのものに似て非なるものであるという意をも表わす。「がんもどき」「うめもどき」など。
評判記難波の㒵は伊勢白粉(1683頃)二「御物(ごもつ)もどきとも云つべきかりの香(にほ)ひ」

もど・く【擬・抵牾・牴牾】

〘他カ四〙
① 他と対抗して張り合って事を行なう。他のものに似せて作ったり、振舞ったりする。まがえる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「此七歳(ななとせ)なる子、父をもどきて、高麗人(こまうど)と文をつくりかはしければ」
② さからって非難または批評する。また、そむく。反対して従わない態度を見せる。さからう。
源氏(1001‐14頃)常夏「をさをさ、人の上もどき給はぬおとどの、このわたりのことは、耳とどめてぞ、おとしめ給ふや」
浮世草子西鶴織留(1694)四「男のこと葉をもどくからは暇をとらす程に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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