笠・傘・暈(読み)かさ

精選版 日本国語大辞典 「笠・傘・暈」の意味・読み・例文・類語

かさ【笠・傘・暈】

〘名〙
① (笠) 雨や雪を防ぎ、また日光をさえぎるために頭にかぶるもの。上代から菅(すげ)を編んで作ったものが多く用いられたが、その他、材質、形は種々のものがある。あみがさ。かぶりがさ。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「素戔嗚尊、青草(くさ)結束(ゆ)ひて笠(カサ)(みの)と為(し)て」
② (傘) (①と同じ目的で)柄をつけ、手に持つように用いられた「きぬがさ」、のち、紙を張った「からかさ」、現代の「こうもりがさ」などの総称。さしがさ。
※枕(10C終)九九「一条殿よりかさ持て来たるをささせて」
③ ①の形をしたもの、または上にかぶせるものをさす。
(イ) (一般に)「かさ(笠・傘)」の形をしたもの。石灯籠などの上方の部分。電灯、ランプのかさ、天蓋(てんがい)など。
万葉(8C後)一〇・二二三三「高松のこの峯も狭(せ)に笠(かさ)立ててみち盛りたる秋の香のよさ」
※桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉二三「電気のかさを引きよせて灯を捩ぢた」
(ロ) (「梂」「毬」をあてることがある) 果実の殻。「松かさ」など。〔十巻本和名抄(934頃)〕
(ハ) きのこの上部の傘状、椀状または半円形をなす部分。普通下面に多数のつば、または管孔があり、胞子をつける。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「椎茸の傘を前歯で噛み切らうとしたら」
(ニ) ハチクラゲ類やヒドロクラゲ類の体の主体をなす、かさ状の部分。
(ホ) 椀類のふた。〔今川大双紙(15C前)〕
(ヘ) 筆のさや。筆帽。
※遊学往来(14C中‐後)下「又筆持様、夏者不笠、冬者可笠」
④ (比喩的に) 覆うようにかばうものをいう。「権力を笠に着る」「核の傘」
⑤ 紋所の名。神宮笠、丸に笠、柳生笠、三階笠などがある。
⑥ (暈) 巻層雲などが太陽や月をおおったとき、そのまわりに生ずるやや赤みがかった白色の光の環。太陽や月の光が巻層雲の氷片によって反射されるためにおこる。視半径約二二度の内暈(うちかさ)と、四六度の外暈(そとかさ)とがある。
※続日本紀‐養老五年(721)二月癸巳「日暈如白虹貫。暈南北有珥」
十六夜日記(1279‐82頃)「有明の月さへかさきたり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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