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教育基本条例(案) きょういくきほんじょうれい(あん)

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知恵蔵2015の解説

教育基本条例(案)

地域政治団体大阪維新の会」が、2011年9月に大阪府議会、大阪市議会、堺市議会に提出した条例案。従来の教育の政治的中立性や教育委員会の独立性を見直し、教育行政への積極的な政治関与によって、「愛国心及び郷土愛に溢れる人材」「グローバル社会に十分に対応できる人材」を育成するというのが主旨。大阪府条例案の骨子は、次の通り。

(1)首長の権限
知事は教育環境を整備する一般的権限を有し、学校が実現すべき目標を設定するというもの。目標実現の責務を果たさない教育委員を罷免することができる。これに対し文科省は、教育目標の設定は教育委員会の職務権限と定めた「地方教育行政法」に抵触するという見解を示し、内閣もこれに添った政府答弁書を閣議決定した(11年12月16日)。なお現行制度でも、首長は教育委員の任命権を持っており、一定の関与は認められている。
(2)「学校協議会」の設置
保護者及び教育関係者の中から校長が委嘱した委員で構成される「学校協議会」を設置するというもの。学校運営や教科書採択に関し意見交換や提言を行い、校長や教員の人事評価の権限も有する。
(3)校長の公募と権限 
正副校長はマネジメント能力の高さを基準として、任期付きで公募により広く人材を集めるというもの。校長は「学校協議会」との協議を経て教科書を採択できる。なおこの他、校長の権限拡大や教職員への管理強化も鮮明になっている。現行制度では、教科書の採択権は教育委員会にある。
(4)教員の人事評価 
校長が「学校協議会」による評価結果を参考に、5段階の相対評価で行うというもの。2回連続して最低ランク(全体の5%)の評価を受けた教員は分限免職の対象となる。また、同一の職務命令に3回違反した場合も、原則として分限免職となる。その後、「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪市市長は、保護者に不適格教員の申し立て権を与えれば、相対評価には固執しないという考えを述べ、学校運営や人事評価は「学校運営基本条例」として提案する方針も表明した(12年1月10日)。
(5)学力調査テストの公開 
府教育委員会は、小中学校における学力調査テストの結果について、市町村別及び学校別の結果をホームページ等で公開しなければならないというもの。
(6)学校選択制 
府立高校の学区を廃止し、全域を通学区域にするというもの。なお、小中学校については、市の条例案で「隣接区域選択制又はブロック選択制などの実現に努めなければならない」としている。
(7)府立高校の統廃合 
3年連続で定員割れを起こし、改善の見込みのない高校は、他の高校と統廃合するというもの。

以上の内容に、大阪教職員組合が猛反発。教育関係者や法律関係者からは教育基本法に違反するという異議が唱えられ、更に府の幹部からも反発の声が上がった。府教育委員会でも、多くの委員が可決された場合は総辞職すると表明。こうした批判を受け、府議会では継続審議となっている。また、大阪市議会では11年9月に反対多数で否決され、堺市議会でも11年12月に否決された。大阪市では、橋下徹市長が修正を加えた上、市長提案として再提出する方針を出している(12年1月末時点)。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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