敢無(読み)あえない

精選版 日本国語大辞典 「敢無」の意味・読み・例文・類語

あえ‐な・い あへ‥【敢無】

〘形口〙 あへな・し 〘形ク〙 (「あえ」は動詞「あう(敢)」の連用形名詞化。こらえられないの意から)
① どうにも抵抗できないさま、止められないさまである。しかたがない。
源氏(1001‐14頃)東屋「かき抱きて乗せ給ひつ。誰も誰もあやしうあえなきことを思ひ騒ぎて」
② 張り合いがなくてがっかりするさま。
(イ) 意気込んだり予期していたことがそういかなくてあっけない。
※竹取(9C末‐10C初)「これを聞きてぞ、とげなき物をばあへなしと言ひける」
海道記(1223頃)西帰「永しと思ひつる夏の日も今日はあへなく暮れぬ」
(ロ) はたで見ていて、いかにもはかないと感じられる。また、見るも無惨だ。
曾我物語(南北朝頃)一「いきほひし滝口、あゑなくまけしかば、しばらく相撲ぞなかりける」
あえな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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