精選版 日本国語大辞典 「敷・布・藉・鋪」の意味・読み・例文・類語
し・く【敷・布・藉・鋪】
[1] 〘自カ四〙 一面に広く、むらなく行きわたる。
※千載(1187)春上・八「霞しく春のしほ路を見渡せば緑を分くる沖つ白波〈藤原兼実〉」
[2] 〘他カ五(四)〙
① 上に物をのせるように平らにひろげる。
(イ) 物を平らにのべ広げる。
※万葉(8C後)一七・三九六二「ぬばたまの 黒髪之吉(シキ)て いつしかと 嘆かすらむそ」
(ロ) その上にすわったり寝たりするために、平らに置く。敷物にする。
(ハ) 下におさえつける。
※太平記(14C後)二〇「義貞弓手の足をしかれて、起あがらんとし給ふ処に」
※日葡辞書(1603‐04)「クルマ、イシナドニ xicaruru(シカルル)〈訳〉車、石などに踏みつぶされる」
(ニ) 言いなりにさせる。
② 物を一面に並べたり、配置したりする。
(イ) 一面に並べる。広く散らばす。
※万葉(8C後)一八・四〇五六「堀江には玉之可(シカ)ましを天皇(おほきみ)を御船漕がむとかねて知りせば」
(ロ) 配置する。また、敷設する。「陣を敷く」
※妹背貝(1889)〈巖谷小波〉春「然し此頃は此の辺にも鉄道が敷かれ」
③ 治める。領する。しる。
※万葉(8C後)一八・四一二二「天皇(すめろき)の 之伎(シキ)ます国の 天の下 四方の道には」
※日葡辞書(1603‐04)「クニヲ xiqu(シク)」
④ 広く及ぼす。また、広く触れ示す。ひろめる。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七「輪王の慈を以て法王の化を敷(シク)」
※現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉II「基礎的研究をもとに技術独占体制をしく」
⑤ 保証のために金銭を出す。
(イ) 持参金にする。敷銀(しきがね)とする。
※浮世草子・昼夜用心記(1707)三「残る百両を敷て道場か医者か、兎角身楽なる方へかたづきたきねがひ」
(ロ) 家賃や地代の支払いを保証する。
⑥ 述べる。
※谷川士清宛本居宣長書簡‐明和二年(1765)八月四日「聊以布二鄙懐一」
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