文箱・笈(読み)ふばこ

精選版 日本国語大辞典 「文箱・笈」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ばこ【文箱・笈】

〘名〙 (「ふみばこ(文箱)」の変化した語)
書状などを入れておく箱。また、書状を入れて持ち運ぶ小箱。状箱。
伊勢物語(10C前)一〇七「今まで巻きて、ふはこに入れてありとなんいふなる」
② (笈) 書物を入れて、になって運ぶ箱。きゅう。〔書言字考節用集(1717)〕
[語誌]平安時代初期のフミバコが、音便化してフム(ン)バコとなるが、①の挙例の「ふはこ」は実際の発音でフンバコであったか、フバコであったかは分からない。「日葡辞書」には「Fubaco(フバコ)」とあるから、中世には表記どおりフバコと訓まれることがあったらしい。しかし、江戸時代には古いフミバコの形が一般に使われた。

ふみ‐ばこ【文箱・笈】

〘名〙
書紀(720)天武元年三月(寛文版訓)「再拝みて、書函(フミハコ)と信物(くにつもの)とを進る」
② =ふみびつ(文櫃)〔十巻本和名抄(934頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android