新訂万国全図(読み)しんていばんこくぜんず

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新訂万国全図」の意味・わかりやすい解説

新訂万国全図
しんていばんこくぜんず

江戸幕府が 19世紀初頭に作成した世界地図。ヨーロッパ諸国の東洋進出によって日本近海に異国船が出没しはじめたため,幕府は国策上の必要に迫られ,文化4 (1807) 年世界図の作成を天文方高橋景保に命じた。景保は横軸平射図法による両半球世界図を3年がかりで完成した。この図はイギリス人 J.アロースミスの『世界図』に基づいて,J.ヒュブネルの『世界地理書』や東西の多くの資料,同5年に間宮海峡を発見したばかりの間宮林蔵の調査報告も取入れた。複製木版ではなく,当時実用化されたばかりの彫刻銅版を用いるなど,当時の最新の情報と技術で作成されている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「新訂万国全図」の解説

新訂万国全図
しんていばんこくぜんず

代表的な蘭学系世界図。アロースミスの海図皇輿(こうよ)全覧図,伊能忠敬実測や間宮林蔵・松田伝十郎蝦夷・樺太探検成果などを総合し,1807年(文化4)高橋景保が幕命をうけて描き,亜欧堂田善(でんぜん)が銅版印刷した。10年の序,16年頃刊。平射法による両半球図だが,日本を図中央に配置し,京都中心の半球図を副図に掲げるなど工夫に富む。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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