方格規矩鏡(読み)ホウカクキクキョウ

デジタル大辞泉 「方格規矩鏡」の意味・読み・例文・類語

ほうかくきく‐きょう〔ハウカクキクキヤウ〕【方格規×矩鏡】

漢代から魏・晋代にかけて盛行した鏡の一。中央ちゅうを方格(方形区画)が囲み、その外側にT・L・V字形文様がある。この文様を定規コンパスに見立てての名称で、四神十二支を配したものが多い。TLV鏡。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「方格規矩鏡」の解説

方格規矩鏡
ほうかくきくきょう

鈕(ちゅう)の周囲に方格がめぐり,外側の各辺中央にT字形,その向かい側にL字形,方格の対角線の方向にV字形の図文と8個の乳(にゅう)をおき,その間に四神・瑞獣(ずいじゅう)・神仙などを配した鏡。T・L字形を矩(定規),V字形を規(コンパス)にみたてたことに由来。こうした図形は,博局(はっきょく)(六博(りくはく)というゲームの盤)や日時計にもみられ,十二支銘や四神図などとともに陰陽五行(いんようごぎょう)説にもとづき,天円地方にかたどられた宇宙観の表現とされる。中国前漢末に出現し,後漢・三国に盛行。日本では弥生時代の甕棺墓(かめかんぼ)をはじめ,前期古墳からの出土例が多い。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の方格規矩鏡の言及

【漢鏡】より

…これらは後漢代を通じて行われた。方格規矩鏡は,いわゆる方格と規矩文によって分割され,四神の霊獣を配することが多く,四神鏡ともいわれている。方格は12の小乳と十二支の銘を配し,青竜,朱雀,白虎,玄武の四神をおいている。…

※「方格規矩鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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