日本大百科全書(ニッポニカ) 「日南(市)」の意味・わかりやすい解説
日南(市)
にちなん
宮崎県南部、日南海岸にある港町、城下町。1950年(昭和25)飫肥(おび)、吾田(あがた)、油津(あぶらつ)の3町と東郷(とうごう)村が合併して市制施行。1955年細田(ほそだ)町、鵜戸(うど)村、1956年酒谷(さかたに)村と榎原(よわら)村の一部を編入。2009年(平成21)北郷(きたごう)町、南郷(なんごう)町を合併。県南部は日南地方とよばれその名を市名に採用。日南山地にあって、広渡(ひろと)川、酒谷川が小さな沖積平野を形成する。JR日南線、国道220号、222号、448号が通る。東九州自動車道の日南北郷インターチェンジと日南東郷インターチェンジ間が開通している。古代郷名に飯肥(飫肥)地名があり、荘園(しょうえん)は島津荘飫肥北郷(しまづのしょうおびきたごう)、同南郷に属した。近世は飫肥藩5万1000石の城下町。城下町飫肥は当時の景観をよく保存しており、とくに武家屋敷群は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。ほかに城跡、藩校振徳堂(しんとくどう)などがある。油津は県南唯一の良港で飫肥の外港的役割を果たし、同藩特産の飫肥杉積出し港であった。木材運搬用の堀川(ほりかわ)運河が油津に残る。飫肥と油津の中間は吾田で行政の中心。王子製紙日南工場が立地する。大堂津(おおどうつ)は漁港。日南海岸国定公園に属し、鵜戸神宮などがある。面積536.11平方キロメートル、人口5万0848(2020)。
[横山淳一]
『『日南市のあゆみ』(1960・日南市)』