日本原子力研究開発機構(読み)ニホンゲンシリョクケンキュウカイハツキコウ

デジタル大辞泉 「日本原子力研究開発機構」の意味・読み・例文・類語

にほん‐げんしりょくけんきゅうかいはつきこう〔‐ゲンシリヨクケンキウカイハツキコウ〕【日本原子力研究開発機構】

原子力基本法に基づき、原子力に関する基礎的研究、応用研究核燃料サイクル確立するための技術の開発などを総合的に行う国立研究開発法人。平成17年(2005)日本原子力研究所JAERI)と核燃料サイクル開発機構JNC)とを統合して設立。茨城県那珂郡東海村本部を置く。原子力機構JAEA(Japan Atomic Energy Agency)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本原子力研究開発機構」の意味・わかりやすい解説

日本原子力研究開発機構
にほんげんしりょくけんきゅうかいはつきこう

原子力の総合的研究開発等を行う文部科学省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。略称、原子力機構。英語名はJapan Atomic Energy Agency、略称はJAEA。1956年(昭和31)設立の日本原子力研究所と、同年設立の原子燃料公社を母体とする核燃料サイクル開発機構を統合して2005年(平成17)10月設立。2015年4月に国立研究開発法人に移行した。原子力基本法の基本方針に基づき、原子力に関する基礎的研究、応用研究、核燃料サイクルを確立するための技術の開発等を総合的に行うとともに、人類社会の福祉や国民生活の水準向上に資する原子力の研究、開発および利用の促進に寄与することを目的としている。本部は茨城県東海村。研究開発業務にあたっては、従来の各研究所、事業所単位にかえて、統合後は研究開発に従事する「研究開発部門」と、施設を管理する「研究開発拠点」に大別するマトリックス組織を採用した。2016年、量子ビーム研究部門と核融合研究部門を量子科学技術研究開発機構に移管。研究開発部門は福島研究開発部門、安全研究・防災支援部門、原子力科学研究部門、高速炉研究開発部門、バックエンド研究開発部門に再編された。研究開発拠点には敦賀(つるが)事業本部(福井県敦賀市)、東海管理センター(茨城県東海村)、J-PARC(ジェーパーク)センター(大強度陽子加速器施設、東海村)、大洗(おおあらい)研究開発センター(茨城県大洗町)、幌延(ほろのべ)深地層研究センター(北海道幌延町)、東濃地科学センター(岐阜県瑞浪(みずなみ)市、土岐(とき)市)、人形峠環境技術センター(岡山県鏡野(かがみの)町)、青森研究開発センター(青森県むつ市)がある。また、原子力緊急支援・研修センターを茨城県ひたちなか市と福井県敦賀市にもち、東京、ワシントン、パリ、ウィーンなどに事務所を置く。

 日本原子力研究開発機構は高速増殖炉の実験炉「常陽」(1977年運転開始。大洗町)と原型炉もんじゅ」(1991年完成。敦賀市)を設置して高速増殖炉の研究を続けてきたが、「常陽」は2007年に実験装置の上部が破損する事故が発生し、炉の運転を停止した。2015年6月までに補修を終え、実用発電用原子炉の新たな設置許可基準規則への対応を進めている。「もんじゅ」については、1995年12月、ナトリウム漏洩(ろうえい)事故が、2010年8月には炉内中継装置の落下事故が起きてそれぞれ運転を停止し、2013年5月には原子力規制委員会より運転準備中止命令が出された。「もんじゅ」の再稼働には多額の費用を要し、国内外の他の施設からも必要な知見が得られるとして、2016年12月、政府は廃炉を決定した。

[編集部 2017年7月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本原子力研究開発機構」の意味・わかりやすい解説

日本原子力研究開発機構
にほんげんしりょくけんきゅうかいはつきこう

原子力に関する研究開発を総合的に行なう独立行政法人原子力基本法の基本方針に基づいて,原子力の基礎・応用研究,核燃料サイクルの確立に向けた高速増殖炉の開発,高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究などを総合的,計画的に行なうとともに,人類社会の福祉および国民生活の水準向上に寄与することを目的とする。 2005年日本原子力研究所核燃料サイクル開発機構が統合して発足。茨城県東海村に本部を置き,東海研究開発センター原子力科学研究所,同核燃料サイクル工学研究所を併設するほか,大洗研究開発センター (茨城県大洗町) ,那珂核融合研究所 (茨城県那珂市) ,高速増殖炉研究開発センター (福井県敦賀市) などの研究施設をもつ。根拠法律は独立行政法人日本原子力研究開発機構法 (平成 16年法律 155号) 。

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知恵蔵 「日本原子力研究開発機構」の解説

日本原子力研究開発機構

原子力分野の基礎から応用まで総合的な研究開発にあたる独立行政法人。職員は約4400人で、国内の研究機関としては最大規模。2005年10月に、基礎研究と安全性研究、核融合炉開発を担当していた日本原子力研究所と、核燃料サイクルを中心に実用技術開発を担当していた核燃料サイクル開発機構が統合されてできた。本部は茨城県東海村。両組織の全施設を引き継いでおり、全国13カ所の研究所、研究センター、事務所に、高速増殖原型炉「もんじゅ」、核融合実験装置JT-60、高温ガス炉など多数の実験炉などを使ってそれぞれの分野での中核的研究に取り組んでいる。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

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