日高川(町)(読み)ひだかがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日高川(町)」の意味・わかりやすい解説

日高川(町)
ひだかがわ

和歌山県中部、日高郡にある町。2005年(平成17)川辺町(かわべちょう)と中津(なかつ)、美山(みやま)の2村が合併し、日高川町が成立。日高川の中・上流域にあたる山間地で、森林面積は約90%。東部の山地は急峻で、西に向かってなだらかな地形に移行する。日高川は町の中央を東から西に蛇行する。JR紀勢本線(きのくに線)、国道424号が通じ、湯浅御坊(ゆあさごぼう)道路の川辺インターチェンジがある。日高川上流部では林業が盛んで、第二次世界大戦後まで日高川を利用して木材を流す筏(いかだ)師がいた。現在はスギ、ヒノキの用材、生産量が全国一の紀州備長炭(びんちょうたん)を産する。農業では柑橘(かんきつ)類や野菜栽培のほか山間部ではウメシイタケセンリョウなどを栽培。下流部の鐘巻(かねまき)にある道成寺(どうじょうじ)は文武天皇の勅願寺と伝え、安珍(あんちん)清姫の物語で知られる。国宝の木造千手観音立像、木造菩薩立像(伝日光・月光菩薩(ぼさつ)像)など多数の寺宝を蔵する。日高川の支流寒川(そうがわ)沿いに中世の土豪寒川氏の氏神寒川神社がある。面積331.59平方キロメートル、人口9219(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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