早・速(読み)はや

精選版 日本国語大辞典 「早・速」の意味・読み・例文・類語

はや【早・速】

(形容詞「はやい」の語幹から)
[1] 〘名〙
速度が高いこと。速いこと。また、勇気があっていさましいこと。多く、他の語と熟して用いられる。⇔遅(おそ)
※延喜式(927)祝詞「かく気吹(いぶ)き放ちては、根の国・底の国に坐す速(はや)さすらひめという神、持ちさすらひ失ひてむ」
② 時間的に前であること。先。〔詞葉新雅(1792)〕
③ 「はやうち(早打)」の略。
※雑俳・柳多留‐九(1774)「あこうへの早あいにくとふり通し」
④ 「はやおい(早追)」の略。
※改正増補和英語林集成(1886)「Hayaga(ハヤガ) キタ 馹」
⑤ 「はやがね(早鐘)」の略。
⑥ 合百(ごうひゃく)の一種。長期清算取引の各節の相場を目当てに早い勝負を決する博打(ばくち)
[2] 〘副〙
[一] 時間がかからないで物事が進行するさまを表わす語。
① すぐに。即座に。
※古事記(712)下・歌謡「手胼(たこむら)に 虻(あむ)(か)き着き その虻を 蜻蛉(あきづ)波夜(ハヤ)咋ひ」
② 人の動作をうながすことばとして用いる。早く。はよう。→はやはや
万葉(8C後)一五・三七四七「わが屋外(やど)の松の葉見つつ吾(あれ)待たむ波夜(ハヤ)帰りませ恋ひ死なぬとに」
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上「コラ至極い尤な事。木俣はや行んな」
[二] 時間的に早い時期にその状態であるさまを表わす語。はよう。
① その時期になる前に。はやくも。
※万葉(8C後)七・一三三七「葛城の高間の草野(かやの)(はや)(し)りて標(しめ)刺さましを今そ悔(くや)しき
② すでに。もはや。
※万葉(8C後)一〇・一八四三「昨日こそ年は極(は)てしか春霞春日の山に速(はや)立ちにけり」
※梵舜本沙石集(1283)二「関東へ下る武士に見逢て、はや搦捕ぬ」
③ もともと。元来。実は。ほかならぬ。
平家(13C前)六「変化の物にてはなかりけり。はや人にてぞ有ける」

はやま・る【早・速】

〘自ラ五(四)〙
① (早)度を過ごして早くする。急ぎすぎる。多く、あわてたり、あせったりして、判断を誤り、軽はずみなことをすることにいう。
今昔(1120頃か)二三「追者、走り早まりて、否止(えとど)まり不敢ずして」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前七「其をば変に思ったのは此方早計(ハヤマ)ったのである」
② 時期が早くなる。速度が速くなる。「予定が二、三日早まる」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※海の柩(1970)〈吉村昭〉二「アメリカ軍進攻は速まり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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