明渡(読み)あけわたる

精選版 日本国語大辞典 「明渡」の意味・読み・例文・類語

あけ‐わた・る【明渡】

〘自ラ五(四)〙
① 夜がすっかり明けて一面に明るくなる。また、霧、雲などが晴れて明るくなる。明け離れる。
千載(1187)夏・一九七「ともしするほぐしの松も消えなくにとやまの雲のあけわたるらん源行宗〉」
② 戸、障子などがすっかり開く。全開する。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)三「御簾も障子も明渡り」

あけ‐わたし【明渡】

〘名〙 (動詞「あけわたす」の連用形名詞化) 土地家屋、城、船舶などから立ちのいて他人に渡すこと。
洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)侠八噛臍「名高へといっちゃア、日蓮正筆か、正宗の刀か、回向院の明渡(アケワタ)しか」

あけ‐わた・す【明渡】

〘他サ五(四)〙 土地、家屋、城、船舶などから立ちのいて、他人に渡す。
甲陽軍鑑(17C初)品五一「小笠原は、富士しもかたにをひて、壱万貫の所領御約束にて、高天神城をあけ渡す」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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