春日(市)(読み)かすが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「春日(市)」の意味・わかりやすい解説

春日(市)
かすが

福岡県中西部、福岡市の南に接する住宅都市。1972年(昭和47)市制施行。市名の起源は約1200年前、大宰少弐(だざいのしょうに)藤原田麻呂(たまろ)が奈良の春日神社の分霊を現在の春日原(かすがばる)に祀(まつ)ったことによるといわれる。南部は脊振(せふり)山地北端の低い小丘陵で、北部は御笠(みかさ)川の沖積低地が広がり、東端をJR鹿児島本線、西日本鉄道天神大牟田(おおむた)線が通じる。また、西端にJR博多(はかた)南線博多南駅がある。第二次世界大戦前は純農村であったが、戦後春日原の軍需工場跡地にアメリカ軍基地や陸上自衛隊が進出し、大野城(おおのじょう)市と並んで発展を始めた。その後、福岡市の発展に伴い住宅団地の建設が進展して住宅都市の性格を急速に強めており、人口が急増した。1664年(寛文4)の築造と伝えられる白水(しろうず)池や大牟田池などの灌漑(かんがい)用貯水池もその使命が薄れてきた。1972年アメリカ軍基地は国に返還され、跡地には九州大学筑紫(つくし)キャンパスや県立春日公園がつくられた。国指定特別史跡の大土居(おおどい)・天神山(てんじんやま)の水城跡(みずきあと)、国指定史跡の日拝塚古墳(ひはいづかこふん)や、須玖(すぐ)の弥生(やよい)遺跡(登録名「須玖岡本遺跡」)があり、「春日の婿押(むこおし)」(春日神社)は国の重要無形民俗文化財に指定されている。また春日市奴国(なこく)の丘歴史資料館もある。面積14.15平方キロメートル、人口11万1023(2020)。

[石黒正紀]

『『春日市史』全4巻(1994~1995・春日市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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