春日部(市)(読み)かすかべ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「春日部(市)」の意味・わかりやすい解説

春日部(市)
かすかべ

埼玉県東部の低地にある市。埼葛(さいかつ)地方の中心都市。1954年(昭和29)春日部町(粕壁(かすかべ)町と内牧(うちまき)村が合併して成立)と豊春(とよはる)、武里(たけさと)、幸松(こうまつ)、豊野(とよの)の4村が合併して市制施行。2005年(平成17)北葛飾(きたかつしか)郡庄和町(しょうわまち)を合併。2008年特例市に移行。旧市街地は古利根(ふるとね)川の自然堤防上に位置する。中世は春日部氏の居城のあった所で、江戸時代は奥州街道の粕壁宿の宿場町であり、4、9の日には市(いち)が立った。東武鉄道伊勢崎(いせさき)線と同野田線が通じ、また国道4号、新4号バイパス、16号が走り、交通の要地となっている。さらに東京地下鉄日比谷(ひびや)線、半蔵門線が乗り入れているので、都心との交通は便利である。地場産業としては、桐箪笥(だんす)と麦藁帽子(むぎわらぼうし)があり、製造内容は変わってきたが現在も続いている。春日部桐箪笥として国の伝統的工芸品に指定されている。1966年にできた日本住宅公団(現、都市再生機構)の武里団地は、177棟、2万2000人を超えるマンモス団地であった。このほか市内には民間団地も多い。一方、1965年には市営の内牧工業団地が造成され、食品、製薬電機などの工場も進出した。このため都市化が著しく、2000年まで人口増加が続いたが、その後は漸減傾向にある。野田線藤の牛島(うしじま)駅北方にある牛島のフジは、根回り9.2メートルもある巨木で、特別天然記念物。このほか、オハツキイチョウ(県指定天然記念物)のある満蔵(まんぞう)寺、水上公園となっている全長79メートルの古利根公園橋などがある。また大畑香取神社の「やったり踊り」(県指定無形民俗文化財)は知られる。面積66.00平方キロメートル、人口22万9792(2020)。

[中山正民]

『『春日部市史』全13冊(1978~1995・春日部市)』


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