晒(刑罰)(読み)さらし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「晒(刑罰)」の意味・わかりやすい解説

晒(刑罰)
さらし

江戸時代の刑罰一種幕府の制では、原則として、江戸日本橋の南詰の広場において、衆人環視に晒すことで、御定書(おさだめがき)ではその期間を3日間と定めている。これに穴晒(あなさらし)と陸晒(おかさらし)とがある。穴晒は鋸挽(のこぎりびき)の刑の際に、囚人の身体を箱に入れ穴に埋めて、首だけ晒すこと。陸晒は地上に蓆(むしろ)を敷いて囚人をその上に座らせるのである。陸晒の刑には、付加刑として晒す場合と、本刑として晒す場合とがある。付加刑としての晒で注目すべき点は、幕府法上相対死(あいたいじに)とよばれた心中で、男女とも死に損なったとき、三日晒のうえ、非人手下(ひにんてか)(非人頭(がしら)に渡して非人にすること)にしたことである。本刑としての晒は女犯(にょぼん)の所化(しょけ)僧にだけ科せられる。所化僧は晒のうえ、本寺、触頭(ふれがしら)へ渡して、寺法によって処分させる。所化僧は寺持ちの僧に対することばである(寺持ちの僧の女犯の刑は遠島)。

石井良助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「晒(刑罰)」の意味・わかりやすい解説

晒(刑罰)【さらし】

江戸時代に行われた刑罰の一種。付加刑であって,心中未遂の男女双方,女犯の所化僧(しょけそう),逆罪の犯人などに科せられた。犯人を大道にすわらせて手を後ろの柱に縛り付けたり,穴晒(首に枷(かせ)をはめ,首だけ出して箱に入れ,土中に埋める)にしたりした。犯人にはずかしめを与えるとともに,みせしめともした。西洋東洋を通じて類似の刑罰があった。

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