晒(漂白)(読み)さらし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「晒(漂白)」の意味・わかりやすい解説

晒(漂白)
さらし

織物に付着している不純物を取り去り、天然のままでは純白ではないので、漂白剤を使って純白にすること、あるいは漂白した綿織物、麻織物などをさす。従来からあった方法は和晒、天日(てんじつ)晒などといい、織物を灰汁(あく)と石灰でたき、石臼(いしうす)で搗(つ)いてよく浸透させたのち、河原などに広げて日光で漂白した。『和漢三才図会(ずえ)』には、晒布の産地として、和州奈良、羽州最上(もがみ)、山州木津、江州(ごうしゅう)高宮、能州阿部屋(あべや)と宇出津、賀州高岡と石動(いするぎ)、越前(えちぜん)府中、防州、芸州、豊州(ほうしゅう)をあげており、越後(えちご)の小千谷縮(おぢやちぢみ)は雪中に広げて晒すため、雪晒としてよく知られた。これらの方法は明治以後になると衰退し、石灰、ソーダカルキ硫酸を使用するカルキ晒となった。近代的漂白法としては、第二次世界大戦前までは、カ性ソーダ、ソーダ灰による精練をし、カルキ晒をしていたが、戦後には、連続式漂白法が取り入れられ、漂白剤に過酸化水素、次亜塩素酸などを用いる漂白法に変わった。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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