智旭(読み)チギョク

デジタル大辞泉 「智旭」の意味・読み・例文・類語

ちぎょく【智旭】

[1599~1655]中国、明末の天台宗の僧。蘇州江蘇省)の人。あざな藕益ぐうやく。号、八不道人儒学を学び、のち仏教の天台唯識などの諸学精進諸宗体系づけようとし、またキリスト教景教)も研究。著「閲蔵知律」など。霊峰藕益大師

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精選版 日本国語大辞典 「智旭」の意味・読み・例文・類語

ちぎょく【智旭】

中国、明末の天台宗の僧。藕益(ぐうやく)大師・八不道人と称する。江蘇省蘇州の人。諸宗を学び、仏教諸学の融合・統一を図り、また、念仏実践を勧めた。仏典解説辞典というべき「閲蔵知津」四八巻のほか著書多数。(一五九九‐一六五五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「智旭」の意味・わかりやすい解説

智旭
ちぎょく
(1599―1655)

中国、明(みん)末の僧。江蘇(こうそ)省蘇州の人。姓は鍾(しょう)氏、字(あざな)は藕益(ぐうやく)。八不道人(はっぷどうじん)と号する。幼少のころから儒学を修め、20歳を過ぎて仏門に帰した。一宗一派に属することをよしとせず、その思想的関心は多方面にわたっている。天台、華厳(けごん)、唯識(ゆいしき)、禅、念仏、律に及び、しかもこれらに儒教を加えて、内外いっさいの教えが対立・排斥しあうものではないという見解にたつ。すべてが調和し、融会(ゆうえ)するというのが彼の見解の基本である。とりわけ、禅=達磨(だるま)禅、天台の教門、律=南山律に注目し、三学の一元を提唱する。『閲蔵知津(ちしん)』48巻など著書は多い。

[新田雅章 2017年3月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「智旭」の意味・わかりやすい解説

智旭
ちぎょく
Zhi-xu

[生]万暦27(1599)
[没]永暦9(1655)
中国,明末の学僧。姓は鐘。字は藕益 (ぐうえき) 。江蘇省呉県の人。天台宗に属し,俗称は霊峰藕益大師。『楞伽経義疏』 (9巻) ,『浄土聖賢録』 (6巻) ,『起信論裂網疏』など多数の著書があり,禅,教,律の三学一致を主張した明代を代表する仏教者。

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改訂新版 世界大百科事典 「智旭」の意味・わかりやすい解説

智旭 (ちきょく)
Zhì xù

藕益智旭(ぐうえきちきょく)

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世界大百科事典(旧版)内の智旭の言及

【藕益智旭】より

…中国,明末の僧。八不道人,始日大師ともよぶ。憨山(かんざん),雲棲,達観とあわせて,明代四高僧に数える。呉県木瀆(もくとく)(江蘇省中部)の人,姓は鍾,名は際明,字を素華という。憨山の禅,雲棲の浄土教をうけて,主として天台と律によって,仏教の総合再編につとめた。禅教離反,各宗偏向を排して,《大蔵経》の要義をあつめて,《閲蔵知津》をつくる。晩年,杭州西湖の霊峰にあり,門人成時がその説を集めて《霊峰宗論》を編する。…

※「智旭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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