精選版 日本国語大辞典 「曲・枉」の意味・読み・例文・類語
ま・げる【曲・枉】
〘他ガ下一〙 ま・ぐ 〘他ガ下二〙
① 棒状のものなど、物の形を屈曲した状態にする。たわめる。おりまげる。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「糸を輪にまけて、組みて沈の朸(あふご)につけたり」
② 傾ける。ななめにする。また、方向を変改する。「貸家の札をまげてはる」「首を横にまげる」
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「ヱヱそれ傾(マゲ)てもつと飜(こぼ)れるは」
③ (「が(駕)を枉(ま)ぐ」から) わざわざ向こうから訪れる。
(イ) 無理にこじつけてゆがめる。理を非にする。理をねじまげてよこしまなことをする。
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「玄藻を紆(マケ)て宗極を序明したまへ」
(ロ) 気持や性質をゆがめさせる。また、気を損ずる。
※落窪(10C後)三「母具したる物は、まづこれにといふままに、まげられて」
(ニ) 改変する。改竄する。
⑤ (「質」に通じる「七」の字は下部を曲げるところからいう) 質入れする。
※評判記・色道大鏡(1678)一「まぐる 何によらず、質にをくことをいふ」
まげ【曲・枉】
① 物体に外力を加えたときに湾曲する現象。
② 品物を質入れすること。
※雑俳・川柳評万句合‐明和四(1767)天二「隠居どら唐津なんどをまげに遣り」
③ 竹や木を曲げてつくったかんじき。《季・冬》
④ 「まげもの(曲物)」の略。
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