書替・書換(読み)かきかえる

精選版 日本国語大辞典 「書替・書換」の意味・読み・例文・類語

かき‐か・える ‥かへる【書替・書換】

〘他ア下一(ハ下一)〙 かきか・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① 書きそこなったものを書き改める。書き直す。
源氏(1001‐14頃)横笛「かきかへ給へりける紙の」
日葡辞書(1603‐04)「Caqicaye, uru, eta(カキカユル)
書風を変えて書く。筆跡を変えて書く。趣向を変えてかく。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「御たたう紙に、いたうあらぬさまにかきかへ給ひて」
③ 他の通用できる文字を用いて書く。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一〇「士字事字通ずるほどにかきかへたぞ」
効力を失う証書などのかわりに、それを受け継ぐ効力のある証書をつくる。または、権利を受け継いだとき、その名義をかえる。
歌舞伎小袖曾我薊色縫十六夜清心)(1859)序幕伊勢屋の小兵衛殿が、此間五両書替十両にしてくれと頼んで参りました」
野心(1902)〈永井荷風〉二「財産が父の死ぬ前自分の名前に書換へられた」

かき‐かえ ‥かへ【書替・書換】

〘名〙
① 書き改めること。書き直すこと。
※恋の重荷(1956)〈中村真一郎〉「歴史の書き変えなど、ひと月やふた月では不可能だし」
② 他の通用できる文字で書くこと。
※文明本節用集(室町中)「燕居〈略〉燕ハ宴ノ書換(カキカヱ)也」
③ 効力を失った証書などのかわりに、それと同じ効力をもつ証書などを新しく作成すること。また、権利人の名義を変えること。「運転免許証の書き替え」
※随筆・当世武野俗談(1757)大口八兵衛「酒宴遊興に〈略〉書替御蔵口をも今日をいつと知らぬ日の尽しをるはと」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉四「借る人に証文を書かせる、書替(カキカヘ)をさせる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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