普及版 字通 「曹(漢字)」の読み・字形・画数・意味
曹
常用漢字 11画
(異体字)
20画
[字訓] つかさ・ともがら
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
正字はに作り、+曰(えつ)。東は(たく)の初文。は〔説文〕六上に「闕」として、その声義を欠く字であるが、の字形によっていえば、裁判の当事者がそれぞれ提供するものを(ふくろ)に入れて並べる形。〔周礼、秋官、大司寇〕によると、束矢鈞金を出す定めであった。曰は盟誓を収める器で、自己詛盟をして獄訟が開始される。これを両造という。〔大司寇〕に「兩を以て民のを禁ず。束矢をに入れしめて、然る後に之れを聽く。兩劑(りやうざい)(契約・盟誓)を以て民の獄を禁ず。鈞金を入れしめて、三日にして乃ちに致し、然る後に之れを聽く」と規定している。〔説文〕五上に「獄の兩曹なり。の東に在り。に從ふ。事を治むるなり。曰に從ふ」とするが、〔説文〕はと曰の形義を理解していない。はいわゆる両造にして束矢鈞金を入れるの形、曰は自己詛盟としての誓約を入れる器である。曹はもと裁判用語。法曹を原義とし、のち官署のことに及ぼして分曹・曹司のようにいう。
[訓義]
1. つかさ、獄訟のつかさ、法曹。
2. ともがら、かかり、官の同僚。
3. つれ、むれ、多くの人たち。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕曹 トモガラ・チカヅク・ムラガル・ムラ・ツカサ・カフル・ナムヂ 〔字鏡集〕曹 チカヅク・トモニ・テヅカラ・カサヌ・ムラ・トモガラ・ヤブル・スナハチ・ムカシ・ムラガル・ヒヒニ・オモシ・ナムヂ・ツカサ
[声系]
〔説文〕に曹声として(遭)・槽・糟・漕など十五字を収める。これらのうちに、法曹の意を承ける字はないようである。
[語系]
曹dzuと(造)dzukは声が近い。は神に告げ訴える意。神に対してといい、獄訟のことを曹という。なおthakも、声に通ずるところがある。
[熟語]
曹幹▶・曹偶▶・曹伍▶・曹好▶・曹史▶・曹司▶・曹主▶・曹署▶・曹属▶・曹党▶・曹務▶
[下接語]
尉曹・我曹・官曹・義曹・軍曹・功曹・獄曹・侍曹・爾曹・若曹・汝曹・田曹・当曹・東曹・分曹・兵曹・法曹・民曹・列曹
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報