有か無きか(読み)あるかなきか

精選版 日本国語大辞典 「有か無きか」の意味・読み・例文・類語

ある【有】 か=無(な)きか[=無(な)き・無(な)しか・無(な)いか]

① あるかないか、また、いるかいないかが、はっきりしないくらい目立たないさま。
(イ) わずかであるさま。かすかで目立たないさま。はかないさま。
※後撰(951‐953頃)雑二・一一九一「あはれともうしともいはじかげろふのあるかなきかにけぬる世なれば〈よみ人しらず〉」
徒然草(1331頃)五「あるかなきかに門さしこめて、待つことなく明し暮したる」
浮世草子・好色五人女(1686)四「左の人さし指に有(アル)かなきかのとげの立けるも心にかかると」
(ロ) 見るかげもなく衰えたさま。見すぼらしいさま。
源氏(1001‐14頃)蓬生「むかしだにあるかなきかなる中門など、ましてかたもなくなりて」
② 生きているのか死んでいるのかわからないほど弱々しいさま。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「あるかなきかに消え入りつつ」
③ 存在するかしないか。
拾遺(1005‐07頃か)雑恋・一二三一「あやまちのあるかなきかを知らぬ身はいとふににたる心ちこそすれ〈よみ人しらず〉」
※新古今(1205)雑下・一八二七「思ふべきわが後の世はあるかなきかなければこそは此世にはすめ〈慈円〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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