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有る・在る ある

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大辞林 第三版の解説

ある【有る・在る】

( 動五 ) [文] ラ変 あ・り
物が存在する。
(何が存在するかが問題の場合)存在する。 「山にはまだ雪が-・る」 「この川の真ん中に国境が-・る」 「何かいい方法が-・るといいのだが」
(その物が存在すること自体は自明で、場所が問題である場合)位置する。 「本社は大阪に-・る」 「その町は札幌の北三〇キロの所に-・る」 「事故の責任は私に-・る」
人が存在する。
(誰が存在するかが問題の場合)いる。 「昔々、ある所におじいさんとおばあさんが-・りました」 「今は昔、竹取の翁といふもの-・りけり/竹取」
人が死なずに生存する。 「先生の-・りし日をしのぶ」
(その人が存在すること自体は自明のことで、場所が問題である場合)人がある場所に滞在する。そこに暮らす。 「当時彼はパリに-・って絵の勉強をしていた」 「彼女は今病の床に-・る」
人がある特別の地位や環境にいる。 「逆境に-・っても望みを捨てない」 「長年にわたって理事長の職に-・る」
所有している。持っている。
人が財産などを所有している。 「彼には財産が-・る」 「お隣にはいい車が-・る」
ある人が、家族・親戚・友人などをもっている。 「大阪に親戚が-・る」 「妻子の-・る身」
物や人などが、ある要素や、付属的・付随的な物を持っている。 「サメには鋭い歯が-・る」 「あの人は顔にほくろが-・る」
人や物がある属性をもっている。 「彼女には気品が-・る」 「ニンニクには独特の匂いが-・る」
人などがある能力・実績・経験を持っている。 「彼は力が-・る」 「相当の学力が-・る」 「政界に影響力が-・る」
人が、ある考え・記憶・感覚を持っている。 「私にいい考えが-・る」 「この説にはいろいろ疑問が-・る」
人が、何か解決・処理すべき事柄をもっている。 「用事が-・るのでお先に失礼する」 「ちょっと相談が-・るんだけど」
(数量を表す語を副詞的に受けて)その物の数・量・重さ・長さ・時間などが…だということを表す。 「頭が二つ-・る蛇」 「重さが一〇トンも-・る岩」 「運動会まであと一週間-・る」
動作・現象が実現する。
何か事が起こる。 「踏切で事故が-・った」 「二人の間に何か-・ったんですか」 「二度-・ることは三度-・る」
行事・催し・会合などが行われる。 「これから会議が-・る」
(「…とある」の形で)他人の文章を引用して示す。…と書かれている。 「法律の条文には『…』と-・る」 「彼の手紙には『来月帰国する』と-・った」
(「…とあって」の形で)状況・場合が…であるので。…なので。 「子供の日と-・ってどこの遊園地も親子連れでいっぱいだ」 「全体で決まったと-・っては断れない」
(「…することがある」「…したことがある」などの形で)時には…する、過去に…した経験をもつ、などの意を表す。 「時に内容の一部を変更することが-・る」 「何度か京都へ行ったことが-・る」
(「…にあっては」の形で)人間集団・社会を表す名詞を受け、そこにおいては、の意を表す。 「わが党に-・っては常に国民の要望にこたえる政策を作っていきたい」
(補助動詞)
名詞に断定の助動詞「だ」の連用形「で」を添えたものに付いて、指定の意を表す。
ある物事と他の物事とが等しい関係にあることを表す。 「彼は学生で-・る」 「一足す二は三で-・る」
ある物事が何らかの類に属することを表す。 「トラはネコ科の動物で-・る」 「吾輩は猫で-・る」
ある状態、ある事態にあることを表す。 「あたりは一面の銀世界で-・る」 「彼はもう退職したはずで-・る」
古語では、断定の助動詞「なり」「たり」の連用形「に」「と」を添えたものに付く。 「一つ松人に-・りせば太刀佩けましを/古事記 」 「なかなかに人と-・らずは酒壺になりにてしかも酒にしみなむ/万葉集 343
種々の語に付いて、そういう状態である、そういう性質をもっている意を表す。「ある」の前に助詞の入ることもある。
形容詞・形容動詞の連用形に付く場合。 「うれしくも-・り、悲しくも-・る」 「狭くは-・っても楽しいわが家」 「ここは静かで-・る」 「みんな親切で-・った」
副詞「かく」「しか」「さ」などに付く場合。 「世の中は恋繁しゑやかくし-・らば梅の花にもならましものを/万葉集 819
打ち消しの助動詞「ず」、推量の助動詞「べし」の連用形に付く場合。 「あすよりはみ山隠りて見えずかも-・らむ/古事記 」 「かくばかり恋ひむとかねて知らませば妹をば見ずそ-・るべく-・りける/万葉集 3739
動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付いて、動作・作用の完了・継続・残存の意を表す。主として他動詞を受ける。
ある動作・作用の結果が続いていることを表す。 「窓が開けて-・る」 「小さく刻んで-・る」
準備がきちんとなされていることを表す。 「あすの事はちゃんと予習して-・る」 「表に車を待たせて-・る」 「きれいに継いで-・る」
動詞の連用形に助詞「つつ」を添えた形に付いて、動作・作用の進行を表す。 「太陽が山の端に沈みつつ-・る」 「病状はだんだんとよくなりつつ-・る」 〔翻訳文の影響で、「書物を読みつつ-・る」のように継続する動作についても用いることがある〕
動作性の漢語名詞または動詞の連用形に付いて、その動作をする人に対する尊敬の意を表す。
接頭語「御」によって敬意を添えることが多い(現代語ではややふざけた場合にしか言わない)。 「どうぞ御笑覧-・れ」 「正月五日、主上御元服-・つて/平家 1」 「少し御まどろみ-・りける御夢に/太平記 3
(「御…あらせられる」の形で)非常に高い敬意を表す。 「殿下が会場に御臨席-・らせられる」 「伊勢神宮に御参拝-・らせられる」 〔 (1) 中世後期の口語ではラ行四段が一般的となる。 (2) 現代語では、「ある」の打ち消しの言い方として、「あらない」は用いられず、「ない」の語が用いられる。ただし、近世には、ごくまれに、「せく事はあらない/浄瑠璃・宵庚申 」などの例がみられる。 (3) 動詞「ある」と「いる」の違いについて。「ある」は物や事柄に言い、それに対して「いる」は生きている人・動物に言うのが原則である。人について「ある」を使う時は、多少とも文章語的で、その人物を具体的な人間として思い浮かべるのではなく、相対的な関係としてとらえている場合が多い。家庭などでの人間関係について、「彼には妻子がある(「いる」とも言える)」「私には家族がある(「いる」とも言える)」「妻子のある男(「いる」は言いにくい)」のような言い方は普通にする。「 A 氏は今、部長の要職にある(「いる」は使えない)」は文章語的なやや硬い言い方。「異郷にあって故国を思う」「この世にある限り…」は文学的な言い方(「いる」とは言えない)。「昔むかしある所にお爺さんとお婆さんがありました」は物語の語り口が残ったもの。「これに反対する人もある」では「いる」とも言いかえられる。「私には兄がある」と「私には兄がいる」とを比べると、後者の方はその人物(兄)を具体的に思い浮べている感じが強い。乗り物は、「駅前にはタクシーがいる」のように、運転者が乗り込んでいてすぐ動ける状態にある場合には「ある」よりも「いる」が一般的。無人の乗用車が駐車している場合には「ある」しか使えない〕
[慣用] 上には上が- ・気が- ・名が- ・花も実も- ・一癖- ・脈が- / 心ここに有らず
[表記] ある(有・在)
「有る」は“存在する。所有する。起こる”の意。仮名で書くことも多い。「有ること無いこと」「妻子の有る身」「踏切で事故が有った」「心ここに有らず」  「在る」は“存在する。生存する。ある状態に身を置く”の意。普通は仮名書き。「交番は目と鼻の先に在る」「責任が在る」「病の床に在る」「逆境に在る」

出典|三省堂
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