朝妻船・浅妻船(読み)あさづまぶね

精選版 日本国語大辞典 「朝妻船・浅妻船」の意味・読み・例文・類語

あさづま‐ぶね【朝妻船・浅妻船】

[1] 〘名〙 琵琶湖の東岸、近江国入江村朝妻(現在の滋賀県米原市)の港に出入りした渡船。奈良時代から近世、慶長一〇年(一六〇五)頃まで続いた。京都に出る者が多く利用したが、船中で遊女が客をとることもあった。
山家集(12C後)中「おぼつかな伊吹颪(おろし)の風先にあさづまぶねは会ひやしぬらん」
歌謡・松の葉(1703)三「あだしあだ波よせてはかへる浪、あさづまふねの浅ましや」
[2]
[一] 宝永・正徳一七〇四‐一六)の頃、画家の英一蝶(はなぶさいっちょう)が描いた絵。遊女が、水干、烏帽子を着けて、舟にさおさしている図柄で、将軍綱吉を風刺したものといわれており、これを題材として歌、絵画、舞踊などが多くつくられた。
[二] 歌舞伎所作事。長唄、二世杵屋佐吉作詞・作曲。三世藤間勘兵衛、初世市山七十郎振付。本名題「浪枕月浅妻(なみまくらつきのあさづま)」。文政三年(一八二〇)江戸中村座初演。(二)(一)を舞踊化したもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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