20世紀日本人名事典 「朝河 貫一」の解説
朝河 貫一
アサカワ カンイチ
明治〜昭和期の歴史学者 エール大学名誉教授。
- 生年
- 明治6年12月22日(1873年)
- 没年
- 昭和23(1948)年8月11日
- 出生地
- 福島県二本松町(現・二本松市)
- 学歴〔年〕
- 東京専門学校(現・早稲田大学)〔明治28年〕卒,ダートマス大学〔明治32年〕卒,エール大学大学院修了
- 学位〔年〕
- 哲学博士(エール大学)〔明治35年〕
- 経歴
- 明治28年米国ダーマスト大学に留学。さらにエール大学大学院に学び、43年同大学院日本文化史助教授、昭和2年同大歴史学助教授、5年準教授を経て、12年日本人初の教授に就任。この間、東京帝大史料編纂所に留学。17年エール大学名誉教授となる。西洋中世史を担当し、日欧封建制度の研究を行う。なかでも、中世荘園史料の基本文献である「入来文書」(昭4年)の英訳刊行は著名。ほかに「六四五年の改革(大化改新)の研究」「荘園の研究」「日露衝突」などがある。また、明治42年に「日本の禍機」を出版して日露戦争後の日本外交を厳しく批判。その後も満州事変、大東亜共栄圏の構想などウルトラ・ナショナリズムへの偏向をたえず厳しく批判・忠告する手紙を日本の友人、知識人、政治家に送った。日米開戦直前に天皇へのルーズベルト大統領親書案を作成、戦争回避に努めたことでも知られる。またエール大学附属図書館日華資料部長として史料収集にも努め、同大や米国議会図書館の依頼により日本の図書計6万7千冊余りを収集、古文書も含めた貴重本約690点が“朝河コレクション”としてエール大学図書館に保存されている。平成2年書簡集刊行。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報