木星(読み)もくせい

精選版 日本国語大辞典 「木星」の意味・読み・例文・類語

もく‐せい【木星】

太陽系第五番目の惑星。太陽からの平均距離七億七八三三万キロメートル。惑星中最も大きく、赤道半径七万一四〇〇キロメートル。体積は地球の一三一八倍、質量は三一八倍、公転周期一一・八六年、自転周期九時間五五分。水素・ヘリウムを主とする大気がある。衛星は一六個以上。歳星。太歳。ジュピター
※愚管抄(1220)六「太白・木星・火星となり、西の方によひよひにすでに犯分に三合のよりあいたりけるに」 〔史記‐天官書〕

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デジタル大辞泉 「木星」の意味・読み・例文・類語

もく‐せい【木星】

Jupiter太陽系の5番目の惑星。太陽からの平均距離は7億7830万キロすなわち5.2026天文単位。周期9時間56分で自転し、11.862年で公転する。最大光度マイナス2.8等。太陽系の惑星中最大で、赤道半径が7万1492キロ、質量は地球の317.83倍。表面には赤道に平行な縞模様が見られ、南半球に卵形の大赤斑がある。90個以上の衛星と、3本の淡い環をもつ。歳星。ジュピター。
[補説](おもな衛星)イオエウロパガニメデカリストアマルテアヒマリアエララパシファエシノペリシテアカルメアナンケレダテーベアドラステアメティスカリロエテミストメガクリテタユゲテカルデネハルパリュケカリュケイオカステエリノメイソノエプラクシディケアウトノエテュオネヘルミペアイトネエウリュドメエウアンテエウポリエオルトシエスポンデカレパシテーヘゲモネムネメアオエデテルクシノエアルケカリコレヘリケカルポエウケラデキュレネコレー
[類語]太陽系水星金星明星明けの明星宵の明星地球火星土星天王星海王星

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改訂新版 世界大百科事典 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星 (もくせい)
Jupiter

基本情報
軌道半長径=5.2026天文単位 
離心率=0.0485 
軌道傾斜=1°.303 
太陽からの距離 最小=7.406×108km 平均=7.783×108km 最大=8.160×108km 
公転周期=11.862年 
平均軌道速度=13.06km/s 
会合周期=398.9日 
赤道半径=7万1492km 
体積=1321(地球=1) 
質量=317.831(地球=1) 
平均密度=1.33g/cm3 
自転周期=0.4135日 
赤道傾斜角=3°.07 
アルベド=0.52 
平均極大光度=-2.8等 
赤道重力=2.37(地球=1) 
脱出速度=59.53km/s

太陽系の第5惑星で,最大の惑星でもある。表面には縞模様と呼ばれる赤道と平行した赤褐色の模様が見られる。南緯20°のあたりに,東西約3万5000km,南北約1万5000kmに及ぶ大赤斑と呼ばれる楕円形の模様があり消長を繰り返している。

 1973年12月に惑星探査機パイオニア10号が表面から12万9000km,74年12月にはパイオニア11号が4万1000kmまで接近して初めて近接観測に成功したが,79年3月と7月にはボエジャー1号と2号がそれぞれ27万8000kmと64万kmまで接近して一段とくわしい観測を行い,これによって木星とその衛星のなぞのかなりの部分が解明された。95年12月は探査機ガリレオがプローブを大気中に降下させたほか,周回軌道から観測を続けている。

 長年の模様観測から,赤道域の自転周期として9時間50分30.003秒,中緯度の自転周期として9時間55分40.632秒という値が求められた。これをそれぞれシステムⅠ,Ⅱと称する。一方,電波観測から固体核の自転周期と考えられる9時間55分29.37秒という値が求められ,これをシステムⅢと称する。システムⅡとⅢはほぼ等しいが,システムⅠが5分も短いのは赤道域に100m/sを超える偏西風が吹いていて,これによって運ばれる雲の模様から求められたものだからと考えられている。多くの模様は独自の自転周期をもっており,大赤斑はシステムⅡに対し,年に平均29°も移動し,さらに平均位置の東西に発見以来±500°も動き回っている。大赤斑と同じ緯度に出現する南熱帯かく乱は大赤斑より短い自転周期をもち,しばしば大赤斑の下をくぐりぬけて追い越していく。

 赤外線観測によれば,表面雲層付近の温度は-139℃で,雲の成分は上層では固体アンモニア,下層では硫化水素アンモニウムNH4SHと水(氷)と考えられている。固体アンモニアの雲の層の大気圧は0.6atm程度である。雲は上層気流の部分に生じ,これが明るい帯となって木星をとりまき,逆に下降気流の部分が赤褐色の縞模様となって見える。帯は縞より4度ほど高温であるが,縞でも雲が晴れて透明な部分(青っぽく見える)は下層の高温部が観測にかかる。高度による温度傾斜は断熱逓減率より少し小さい-1.9°/cm程度である。大気は水素(89%),ヘリウム(11%)を主成分とし,メタン,アンモニア,アセチレン,エタンなどが全体で0.1%ほど含まれている。厚さは約1000kmあり,底では温度約1500K,圧力約30atmに達している。その下は高圧の液体水素の層があり,底の温度は1万1000K,圧力300万atmである。さらにその下は高温高圧のため自由電子を含んで電導性を生じた厚い金属水素の層があり,中心部は固体核があると考えられている。中心の温度は約3万K,圧力は1億atmに達する。木星は太陽から受けたエネルギーの約2倍の熱量を放出している。余分の熱量は主として木星の収縮による重力エネルギーによっておぎなわれていると考えられ,それには木星の半径が年に1mmずつ減少すればよい。

 強大な重力と速い自転のため木星の大気活動はきわめて活発である。縞模様は大気の大循環によって生じているが,縞の本数が多いのは大きなコリオリ力の結果である。台風に相当する渦が各所に発生し,その寿命もきわめて長い。渦の最大のものは大赤斑で,消長はあるが,すでに300年も観測されている。内部の風速は55m/sに達し6日間で反時計方向に回転している。縞模様の色は窒素,リン,硫黄を含んだ化合物によって生じていると考えられ,地上実験でも放電によって赤っぽい化合物が容易に合成されることがわかっている。

 大気圏の上層は厚さ3000cmの電離圏となっている。電離層は数層あり,プラズマ温度は数百Kに達している。イオンは地球と違ってH⁺がほとんどで,ほかにH2⁺,H3⁺,CH3⁺なども存在する。

 木星の磁気圏はきわめて強力でその勢力範囲は8×106~11×106kmに達している。表面での磁場は赤道で4~7ガウス,極で10~14ガウス,磁極の向きは自転軸に対し9°傾いている。地球の500倍もの強度をもつ放射能帯には数MeV以上の電子,1MeV程度の陽子が存在し,強力な電波を放出している。惑星電波が最初に発見されたのは木星で1955年のことである。この電波は波長十数m程度のデカメートル波で,木星の磁極付近から出ている。磁気圏から出る電波は波長の短いマイクロ波で,地上観測から木星の磁気圏の状態を知る手がかりとなった。一方,惑星探査機は直接磁気圏の中からその状態を探り,磁場の赤道にそって遠方まで電流が流れており,磁気圏を遠くにひろげる役割を果たしていることをつきとめた。

 木星は多くの衛星をもっている。昔から知られているものは木星に近い順に,Ⅴアマルテア,Ⅰイオ,Ⅱユーロパ,Ⅲガニメデ,Ⅳカリスト,ⅩⅢレダ,Ⅵヒマリア,Ⅶエララ,Ⅹリシテア,ⅩⅡアナンケ,ⅩⅠカルメ,Ⅷパシファエ,Ⅸシノーペと呼ばれる。探査機によってさらにⅩⅥメティス,ⅩⅤアドラステア,ⅩⅣテーベが追加確認された(発見は地上)。このうちⅠ~ⅣはG.ガリレイが1610年に発見したのでガリレオ衛星と呼ばれる。その詳細については〈衛星〉の項目を参照されたい。Ⅷ,Ⅸ,ⅩⅠ,ⅩⅡは逆行衛星である。

 ボエジャー1号は木星にも淡い環があることを発見した。主環の木星中心からの距離は12万2800~12万9200km,明るい部分の幅は800kmである。淡い第2環は主環の内側から木星表面までひろがっている。また,衛星イオの活火山から噴きあげられた硫黄やナトリウムはイオの軌道にひろがり,さらに内側に入っていって,アマルテアの表面を赤く染め,環をこえて木星表面にまで達している。
執筆者:

木星は最大の惑星であり,ギリシア・ローマ神話の神々の王たるゼウスユピテル(英語のジュピター)と同一視された。錬金術ではスズのシンボル。占星術では大いなる幸福の惑星とみなされ,吉位にある場合は長寿と栄誉をもたらし,率直,博愛,賢明,正義の性質を授けるとされる。逆に凶位にある木星は,妄想,うぬぼれ,虚栄心の強い人間をつくる。人体の支配部位は,肺臓,肋骨,動脈,精子,肝臓で,多血質,卒中性の体質を生むとされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星
もくせい
Jupiter

太陽系で最大の惑星。8惑星のうち、太陽から第5番目の距離にあり、火星の外側を公転している。

 木星はヨーロッパではローマ神話の主神ユピテル(英語名ジュピター)の名が与えられており、また中国では歳星(さいせい)とよんだ。

 太陽からの平均距離は5.2026天文単位(7億7830万キロメートル)、公転周期11.862年、軌道の離心率は0.0485、黄道面に対する傾斜角は1.304度である。

 木星の赤道半径は7万1398キロメートルで地球の11.2倍、体積は地球の1316倍もあり、全惑星中もっとも大きい。しかし質量は地球の317.832倍しかなく、平均密度は1.33にすぎない。それでも木星の質量は他の惑星の質量の合計の2.5倍もあることになる。また太陽に比べれば1000分の1足らずとなる。なお木星の赤道重力は地球の2.37倍もあって、脱出速度も毎秒約60キロメートルにもなる。

 木星はこのように太陽系のなかで最大の惑星であり、いわゆる木星型惑星の代表である。会合周期は398.9日で、ほとんど毎年衝(しょう)となって接近するが、その時期は毎年1か月ほどずつ遅れていき、12年で天球上を1周してほぼ元に戻る。

 木星は巨大な星なので遠方にあるにもかかわらず衝のころの極大光度はマイナス2.8等に達する。また視直径も47秒ほどで、40倍の倍率の望遠鏡で、ほぼ肉眼で見た満月の大きさに見える。木星は小望遠鏡で見てもすぐにわかるほど南北につぶれた楕円(だえん)形をしており、極半径は赤道半径より4640キロメートルも短い(扁(へん)率0.065)。また表面には何本もの暗い縞(しま)模様が見られ、とくに赤道の南北両側にある2本はもっとも著しく、それぞれ北赤道縞(しま)および南赤道縞とよばれている。これらの縞模様には複雑な濃淡凹凸などの模様が見られ、また絶えず変化していく。これらの目だった斑点(はんてん)の動きを観察すれば木星の自転速度が求められ、赤道帯ではほぼ9時間50分、また赤道縞より高緯度では9時間55分余りと測られているが、場所により、時により変動し、局部的な気流の存在がかなり詳しく観測されている。なお木星が発している電波の観測から9時間55分29.37秒という周期が求められていて、これは表面の雲層でなく、内部の自転速度と考えられている。また有名な大赤斑とよばれる楕円形の赤みを帯びた斑点が17世紀ころから知られており、南半球の温帯地方にあって絶えず濃淡や形状を変えている。これら表面現象のほかに、地上観測によって、かなり古くから大気中にメタンやアンモニアの存在が検出されていた。

 木星の正体を格段に明らかにしてくれたのは惑星探査機である。木星を最初に探査したのは1973年末と1974年末に木星に接近したアメリカのパイオニア10号と11号であり、その後1980年のボイジャー1号、1981年のボイジャー2号によってさらに詳しく観測された。

 木星は巨大な天体なので原始太陽系星雲の成分をほとんどそのまま取り込んでおり、化学組成は太陽なみと考えられる。パイオニアの実測でも水素82%、ヘリウム17%、その他1%となっている。このような数値を用いて内部構造を計算することができ、木星の大部分は液体水素で、中のほうは金属状液体水素となっていると考えられる。また木星は太陽から受ける熱量の2倍余りの熱を放射していることもわかり、高温の内部からかなりの熱が運ばれてきていることになる。

 ボイジャーによる表面の温度測定では、明るい部分が暗い縞の部分よりすこし低温であることがわかり、明るい帯は上昇流、暗い縞は下降流で、より深いところを見ているのだと考えられる。雲はおもにアンモニアの氷とみられるが、縞の部分の赤っぽい色については水硫化アンモニウムとも高分子の有機化合物ともいわれ確定していない。また大赤斑は地球の直径の2倍以上もある巨大な雲の渦であることも確かめられたが、その成因などについてはなお不明な点も多い。

 木星が発する電波の観測からも木星に強い磁気圏があることが推定されてきたが、探査機によって初めてその詳細が明らかになった。磁場の強さは木星表面でおよそ4ガウスもあり、地球のほぼ1万倍に相当する。また磁気圏の大きさは最大木星半径の110倍にも及んだが、太陽風との相互作用で激しく変化し、また赤道面に沿って平たく延びているなどの特徴がある。磁気圏の中には強大な放射線帯があり、その規模も粒子のエネルギーも地球の数十倍に達する。この大規模な磁場の成因は木星内部の巨大な金属状液体水素の流体核の存在と急速な自転によるダイナモ作用によって説明されている。

 木星には1610年にガリレイが発見したイオ、ユーロパ、ガニメデ、カリストの4大衛星をはじめ現在確認されたものだけでも16個の衛星が知られており、ボイジャーによって観測されたが未確認のものがほかに数個ある。ガリレイが発見した4大衛星は格段に大きく、ほとんど木星の赤道面を円に近い軌道で公転しているが、ほかははるかに小型で軌道傾斜も離心率もかなり大きく、4個は公転が逆行である。4大衛星の密度はイオ3.5、ユーロパ3.0、ガニメデ1.9、カリスト1.8と木星から遠いものほど小さくなっており、イオやユーロパは地球の月に似た大きさでほとんど岩石質の組成なのに対して、ガニメデやカリストはほぼ半分は氷とみられ、いずれも厚い氷のマントルをもっていると考えられる。なかでもガニメデは直径5280キロメートルもあって、太陽系中最大の衛星で、大惑星の水星よりも大きいが、質量はその半分にも及ばない。他の小衛星もほとんどみな密度が小さく、大部分が氷であるとみられている。

 ボイジャー1号によってイオの表面に多くの活火山があることがみいだされたが、その原因は木星の強大な起潮力によってイオが変形を繰り返すためと説明されている。以前からイオの軌道に沿ってナトリウムやイオウの雲の存在が知られていたが、この起源も活火山の存在によって解決した。またこれらと木星磁場との相互作用によって木星からの電波がイオの運動に連動して変動することも説明された。表面を氷に覆われたユーロパ、ガニメデ、カリストなどの表面にもクレーターをはじめいろいろな地形がみいだされ、それぞれ過去の歴史を物語っていると思われる。

 なお、ボイジャー1号は木星の表面から5万7000キロメートルのところに細い環(わ)があることを発見した。

[村山定男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星
もくせい
Jupiter

太陽系の最大の惑星。赤道半径 7万1492kmで地球の 11倍をこえ,質量は地球の 318倍,平均密度は約 1.3。形状はいくらか扁平な回転楕円体。土星小惑星帯の間を公転し,太陽からの距離は近日点遠日点でそれぞれ 7億4000万kmと 8億1600万km。離心率は 0.048。公転周期は 11.86年。光度は,暗いときで-1.4等,の近くでは-2.5等で金星に次ぐ。黄色でアルベド 0.73,中央より周辺部が暗い。自転方向に大気の動きを示す横縞模様があり,赤道の南側には大赤斑があって,1878年以来系統的に観測されている。自転方向は順行で,赤道帯で自転周期 9時間50分30秒であるが,緯度によっていくらか異なる。赤道面傾斜は 3.1°。1994年7月にシューメーカー・レビー第9彗星が衝突。その観測結果より木星大気の奥に氷を含む層があることが確認された。衛星は 66個。うちイオエウロパガニメドカリストの 4個は有名なガリレオ衛星(→ガリレイ)で,1610年望遠鏡の発明とともに発見され(→ガリレイ式望遠鏡),地動説を確立,普及するのに役立った。1979年に木星に相次いで接近したアメリカ合衆国の無人惑星探測機ボイジャー1号,2号(→ボイジャー)により撮影された写真から,木星の環が発見された。この環は厚さ 31km以内,木星表面から約 5万8000kmの距離まで広がっている。環の構成物質は外側の 6500kmの範囲に密集しているが,その内側にも散在する。

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百科事典マイペディア 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星【もくせい】

太陽系の第5惑星。太陽との平均距離7億7830万km(5.2天文単位),公転周期11.86年。平均極大光度−2.5等。赤道半径7万1500km,極方向にかなり扁平(扁率1/15)。体積は地球の1321倍,質量は318倍で惑星中最大。比重1.33。自転周期0.41日。表面に赤道に平行な縞(しま)模様が見え,南半球の中ほどに長さ約3万5000km,幅約1万5000kmの楕円形の大赤斑がある。 パイオニア10号(1973年),11号(1974年),ボエジャー1号(1979年),2号(1979年),ガリレオ(1995年―1996年)の探査により,木星とその衛星はかなりくわしくわかった。木星大気は水素,メタン,アンモニア,水蒸気の分子の存在が認められ,ヘリウムの水素分子に対する体積比は0.11±0.03と測定された。大気上層では暴風も観測されている。また木星の縞模様は大気内の対流によって生ずる物質の運動で,波動でないことがわかり,大赤斑は大気の巨大な渦(うず)運動で,物質が大赤斑の周囲を約6日の周期で回転していることがわかった。オーロラは紫外域で観測され,雲の頂上に稲妻が見られた。木星の磁場は双極子場のほか4重極や8重極も観測され,複雑な様相を示し,表面での磁場の強さは4〜14ガウスと推定される。磁軸は自転軸に対し9°傾いている。磁気圏の尾は木星からその半径の160倍以上ものびている。ボエジャー1号によって木星の環が発見されたが,これは半径12万8300±100kmで,厚さ30km以下,外縁から6500kmくらいの部分に大部分の物質が集中している。 衛星の観測では,第I衛星イオの表面で活発な火山活動が認められ,第II衛星ユーロパ,第III衛星ガニメデの表面には複雑な造山運動の跡が認められた。第V衛星アマルテアは細長い形をしており,公転と自転が同期している。さらに第XIV,XV,XVIの3衛星が発見されている。これらの衛星のうち第I〜第IV衛星(第IV衛星の名はカリスト)は1610年ガリレイが発見したのでガリレオ衛星と呼ばれる。第VIII,第XI,第XII衛星は逆行衛星。 木星はギリシア神話ではゼウス,ローマ神話ではユピテル(ジュピター)と同一視され,占星術では大いなる幸福の惑星とみなされる。錬金術ではスズを象徴。
→関連項目ボエジャーユピテル

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知恵蔵 「木星」の解説

木星

第5番目、太陽系最大の惑星。ガリレオの4大衛星や縞模様で知られる。半径は7万1500kmで地球の11.2倍、質量は同319倍で、水素を主成分とするガス惑星。自転周期は約10時間と短く、激しい大気の流れが、赤道に平行な帯や縞模様を作る。大赤斑(大赤点)と呼ばれる、地球より大きな渦が半永久的に存在する。最近、大きさが大赤斑の半分ほどの赤みがかった巨大な渦が出現し、小赤斑と呼ばれ注目されている。パイオニア(1973、74年)やボイジャー(79年、いずれも米)などの探査機により、環の存在、大気中の雷、強力な磁場によるオーロラ発生などが観測された。これまでに63個の衛星が確認され、うち4個は17世紀初めにガリレオが発見し、ガリレオの4大衛星として知られている。一番内側の衛星イオには、地球以外では初めて火山の噴火が観測された。噴火のエネルギーは、木星の潮汐力による発熱と考えられる。また、衛星エウロパの表面は100〜200kmの厚い氷の層に覆われ、複雑な筋状の模様が交錯している。氷の下には水の海があるものと推測され、生命存在の可能性が研究されている。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

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占い用語集 「木星」の解説

木星

射手座の支配星。魚座の副支配星。古代ローマ神話のジュピター(ギリシャ神話のゼウス)から命名。木星の公転周期は11.86年なので、各ハウスに約一年間留まる。木星は昔から「吉星」とされ、木星が運行しているハウスに太陽星座があると、「12年に一度の大幸運期」などと一般的に言われている。寛容、寛大、許容、推進力、チャンスや援助を意味する。

出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の木星の言及

【風】より

…一方,こうした雲の動きとは別に一連の人工衛星による風の観測が行われ,金星の上層大気は100m/s前後の速度で運動していることがわかった。
[木星]
 木星の雲はいろいろの層をなして大気中に浮かび,また規則正しく帯,縞模様を織りなして特徴ある木星の素顔をつくっている。雲の動きから,帯の赤道側は遅く回転し,極側はより速く回転しており,縞部分はその逆となっていることが解明された。…

【肝臓】より

…なおカニの〈みそ〉はこの中腸腺である。【玉手 英夫】
[肝臓の文化史]
 プトレマイオスによれば金星が肝臓を支配する(《四書(テトラビブロス)》3巻)のだが,その後の占星術的医学では木星がおもな支配遊星であるとする(H.L.コーネル《医学的占星術百科》)。パラケルススは《ヘルメス文書》の〈ポイマンドレス〉の影響を受けて,人体の七つの器官はそれぞれ七つの遊星から生命を得てみずからを維持しており,不変な王者の座にある木星は肝臓の遊星でこれを意味づけているとした。…

【歳星】より

…木星の古代中国名。五星の一つ。…

【大気】より

…地球や木星など太陽系の惑星を囲んでいる気体を大気あるいは惑星大気という。その中で,地球の重力によって地球とともに回転している気体を地球大気といい,一般には大気といえば地球大気を指す。…

【中国天文学】より

…占星術が起こり,日食や惑星の運動に注目するようになった。惑星の中,とくに木星(〈歳星〉という)の位置によって国家の安危を占うことが行われ,そのために〈二十八宿〉や〈十二次〉によって天空を分割することが行われた。戦国時代になると石申や甘徳などの天文学者が出て盛んに天体観測を行ったが,前4世紀の半ばごろには1年を3651/4日とする〈四分暦〉が考案され,19年や76年の周期を利用して整然とした太陰太陽暦がつくられた。…

【天文学】より

…惑星運動に注意するのもこれからまもなくの時代であろう。惑星の中でもっとも光の強い木星は12年で天を1周することが知られ,したがって木星の位置によって〈歳〉をしるすという意味でこれが〈歳星〉とも呼ばれた。木星の位置によって国家や支配者の運命を占うことが行われているのは,西方の占星術の発生とまったく相似ている。…

【二十八宿】より

…二十八宿の起首が角宿から始まるのは,角宿が北斗七星の斗柄が指す方向に当たっていて,斗柄の方向によって1年の季節を定めた時法との結びつきのなごりとされている。前4世紀の初めから周天を12の等間隔に分ける十二次が用いられ,そこを木星が1年に1次ずつ12年間でめぐっていく位置によって年を記す歳星紀年法が成立した。歳星紀年法は太歳紀年法や太陰紀年法(木星の鏡像の位置によって年を表す方法)に発達したが,十二次の方法は中国天文学では二十八宿の体系に代わることはなかった。…

【惑星】より

…遊星とも呼ばれる。内側から水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星,冥王星の9個があり,その多くは衛星をもつ。また火星と木星の間には数多くの小惑星があり,惑星に集積し切れなかったなごりの物体群と考えられている。…

※「木星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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