木部 達二(読み)キベ タツジ

20世紀日本人名事典 「木部 達二」の解説

木部 達二
キベ タツジ

昭和期の労働者教育者,地方文化運動リーダー 庶民大学三島教室主宰者。



生年
大正4(1915)年1月1日

没年
昭和23(1948)年2月22日

出生地
秋田県阿仁合町

学歴〔年〕
東京帝大法学部〔昭和13年〕卒,東京帝大大学院修了

経歴
東京電機の労務担当係を経て、東大大学院で末弘厳太郎に労働法を学び、法学部嘱託を務めたが、昭和15〜17年京浜地区で労働者教育に携わる。戦後20年12月静岡県三島市で庶民大学講座を開き、21年2月労働者教育のための“三島教室”を発足させた。丸山真男中村哲、中野好夫ら100人近い講師陣に、2年間に聴講生5000人が参加した。聴講生を会員に、その手で運営、機関紙を毎月発行、書籍取り次ぎで財政を賄った。講師を中心に組織した“民衆学術協会”を活用した庶民大学運動は全県的に広がり、国鉄労働組合や全逓信労組支部などに大きく影響を与えた。22年4月押されて参院選地方区に出馬したが落選、同年5月中労委中立委員となった。23年2月33歳で急死したが、その運動理念は若者たちが受け継ぎ、後の労働者教育協会発足、革新市政確立、コンビナート反対運動、三島市民文化会議などに花開いた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

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