木馬(きうま)(読み)きうま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「木馬(きうま)」の意味・わかりやすい解説

木馬(きうま)
きうま

積雪の少ない地方で夏季に用いる木材運搬用のそりの一種で、「きんま」ともいう。カシミズメケヤキナラなどの硬木でつくった2本の親骨に3~5本の横木を取り付けた梯子(はしご)形のそりである。勾配(こうばい)が6度程度を運搬限度とする普通木馬と、十数度まで運搬可能の単軌木馬、ワイヤ木馬などがある。木馬を用いての木材運搬を木馬運材という。直径5センチメートル、長さ1~1.5メートル程度の小丸太あるいは割り木を盤木(ばんぎ)として約60センチメートル間隔に敷き並べた、主として下り勾配の木馬道上を、木馬に木材を積載して人力で引っ張り滑走させ、あるいは滑走を制動しつつ運材する。木馬道は幅員1.2~1.8メートル程度で、路面や桟道の敷設が容易なため、日本の民有林では2キロメートルくらいまでの短・中距離運材に広く用いられた。現在は、集材機やトラクター、林内作業車、多工程同時処理機械などの林業機械の普及と、労働安全上の見地からほとんど用いられなくなったが、小規模民有林の比較的少量・短距離の運材にはいまなお残存している。

[山脇三平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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