本方・元方(読み)もとかた

精選版 日本国語大辞典 「本方・元方」の意味・読み・例文・類語

もと‐かた【本方・元方】

〘名〙
神楽の演奏の時、本末の二組に分かれた歌い手の一方で、先に唱え歌う方。⇔すえかた
※神楽歌(9C後)阿知女作法「本方 あちめ おおおお 末方 おけ」
卸売りをする問屋。また、製造元。
※開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初「元方(モトカタ)の人々が皆精を出し追々品物の仕出しが沢山になって来たゆゑにて」
③ 事業の資本を出す人。出資者。また、興行などの主催者。
※金まうけわなづくし見立角力(1818‐30頃)「富の元方になろとかね出す人」
④ 統括の任に当たる人。元締。親方
洒落本・山下珍作(1782)任風貌者「手めへがもとかたは金六だの」
女衒(ぜげん)。判人。
歌舞伎阿国御前化粧鏡(1809)二幕「もしや廻しの金五郎、元方(モトカタ)に縁のある爰の内ゆゑ」
⑥ 根本の方。もとの方。
⑦ 金銭や物品などを収納する役。江戸時代、元方金奉行、元方納戸頭など江戸幕府の職名として用いられた。
※明良帯録(1814)続篇「御金奉行〈略〉元方払方とあり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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